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MMTのすさまじい破壊力!

以前にMMT(現代貨幣理論)について少し書きましたが、その後もMMTに関する情報を集めています。もうすぐ、MMTの提唱者の中心人物であるランダル・レイ氏の専門書の邦訳が販売されるらしいですが、予約が殺到しているようです。



そして、このところ、MMTに関するまともな記事も少しずつ増えてきました。以下の文藝春秋の記事がその一つです。ここでのMMTの内容の紹介が

「自国通貨を発行する政府は、高インフレの懸念がない限り、財政赤字を心配する必要はない」
 こう説くMMT(Modern Monetary Theory「現代貨幣理論」)が話題となっている。

・・・となっています。まともです。当初は、「政府は借金をいくらふくらましてもかまわないとするMMT・・・」などと紹介されていましたから、ずいぶん変わってきました。


"異端"の経済理論が「デフレ脱却を目指す日本は、財政赤字をむしろ拡大すべき」と説く理由

「自国通貨を発行する政府は、高インフレの懸念がない限り、財政赤字を心配する必要はない」

 こう説くMMT(Modern Monetary Theory「現代貨幣理論」)が話題となっている。

 もしこの理論が正しければ、10月に予定されている「消費増税」はもちろん、長らく日本の課題とされてきた「財政赤字の健全化」など、不要となるからだ。

 MMTの提唱者、米ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授は、「政府債務は過去の財政赤字の単なる歴史的記録です。これによってわかるのは、これまでの赤字財政で日本経済の過熱を招くことはなかったということです」として、「理論を実証してきた」日本を「成功例」として挙げている。

 一方、「財政規律の軽視」につながる議論としてMMTを警戒する財務省は、「MMT反論資料」を作成し、財政制度等審議会に提出した。

 財務省だけではない。多くのメディアでは、MMTは「異端の経済理論」として紹介され、経済学者やエコノミストの多くが「トンデモ理論」と斬って捨てている。

 しかし、MMTは「最近、にわかに登場したトンデモ理論」とは決して言えないのだ。

 2016年刊の大著『富国と強兵』(東洋経済新報社)で、日本でいち早くMMTを論じた評論家の中野剛志氏はこう述べる。

「最近になって登場した感があるが、実は、20世紀初頭のF・G・クナップ、J・M・ケインズ、J・A・シュンペーターらの洞察を原型とし、A・ラーナー、H・ミンスキーなどの業績も取り込んで、1990年代に、L・ランダル・レイ、S・ケルトン、W・ミッチェルといった経済学者、あるいは投資家のW・モズラーらによって、MMTという名で成立していた理論である」

ーーー「貨幣」とはそもそも何なのか?ーーー

 中野氏によれば、MMT(現代貨幣論)は、その名の通り、何よりも「貨幣論」だ。「貨幣」の理解の仕方が主流派経済学とまったく異なるのである。

「主流派経済学の標準的な教科書は、貨幣について、次のように説明している。

 原始的な社会では、物々交換が行われていたが、そのうちに、何らかの価値をもった『商品』が、便利な交換手段(つまり貨幣)として使われるようになった。その代表的な『商品』が貴金属、とくに金である。これが、貨幣の起源である。

 しかし、金そのものを貨幣とすると、純度や重量など貨幣の価値の確認に手間がかかるので、政府が一定の純度と重量をもった金貨を鋳造するようになる。次の段階では、金との交換を義務付けた兌換紙幣を発行するようになる。こうして、政府発行の紙幣が標準的な貨幣となる。最終的には、金との交換による価値の保証も不要になり、紙幣は、不換紙幣となる。それでも、交換の際に皆が受け取り続ける限り、紙幣には価値があり、貨幣としての役割を果たす(N・グレゴリー・マンキュー『マンキューマクロ経済学Ⅰ入門編 第3版』東洋経済新報社)。

 このような貨幣論を『商品貨幣論』と言う。しかし、この『商品貨幣論』は、実は、誤りなのである」

ーーー貨幣とは「負債」であるーーー

 その上で、中野氏はこう述べる。

「では、『貨幣=商品』でないとすると、貨幣とは何であるのか。

 これについては、イングランド銀行の季刊誌(2014年春号)に掲載された貨幣に関する入門的な解説が参考になる。この解説によれば、『今日、貨幣とは負債の一形式であり、経済において交換手段として受け入れられた特殊な負債である』。

 この解説のように、貨幣を『負債』の一種とみなす学説を『信用貨幣論』と言う。

 イングランド銀行は、『貨幣=負債』であることを説明するために、『春にロビンソン・クルーソーが野苺を収穫してフライデーに渡し、その代わりにフライデーは秋に獲った魚をクルーソーに渡すことを約束する』という異時点間の物々交換を例に出す。この場合、春の時点では、クルーソーにはフライデーに対する『信用』が生じ、反対にフライデーにはクルーソーに対する『負債』が生じる。秋になって、フライデーがクルーソーに魚を渡した時点で、フライデーの『負債』は消滅する。

 これは二者間の取引を想定した例であるが、現実の経済における財・サービスの取引は、多くの主体の間で行われるため、『売り手』と『買い手』の間の『信用/負債』関係もまた無数に存在することとなる。

 クルーソーとフライデーの例のように、二者間の関係だけで『信用/負債』関係を解消することは、現実の経済では極めて難しい。そこで、ある二者間の関係で定義された『負債』と、別の二者間の関係で定義された『負債』とを相互に比較し、決済できるようにするために、負債を計算する共通の表示単位が必要になる。この共通の負債の表示単位なるものが、例えば、円やドルやポンドのことなのだ。要するに、『負債』を円やドルやポンドといった共通の計算単位で表示したものを、我々は『貨幣』と呼んでいるのである」

 つまり、「貨幣=商品」ではなく「貨幣=負債」ということだ。

 続いて、中野氏はこう解説する。

「『貨幣とは負債である』ならば、債務を負えばだれでも貨幣を創造できるように思える。しかし、実際には、だれの負債でも貨幣として受け取られるというわけではない。負債には、デフォルト(債務不履行)の可能性があるからだ。それゆえ、デフォルトの可能性がほとんどないと信頼される特殊な負債のみが、『貨幣』として受け入れられる」

ーーー貨幣の価値は国家権力に担保されているーーー

「デフォルトの可能性がほとんどないと信頼される特殊な負債」として現在流通しているのが、ドルやポンドや円などの通貨だ。では、こうした通貨の流通はどのように担保されているのか。これについて、次のような明快な解答を示したのがMMTだ、というのだ。

「国家が貨幣を租税の支払い手段と定めていることで、貨幣の価値が担保されている。要するに、通貨の価値を裏付けるものは、租税を徴収する国家権力なのだ」

 こうした「貨幣」理解に立つMMTは、次のような“常識”とは異なる結論を導き出す。

「民間において通貨が取引や貯蓄など納税以外の手段として使用されるためには、国家は税収以上の支出を行う必要がある。ランダル・レイの言い方を借りれば、「『正常な』ケースは、政府が『赤字財政』を運営していること、すなわち、税によって徴収する以上の通貨を供給していること」となるのだ。
財政規律は「インフレ率」にすべき

 日本は、20年もの間、デフレである。ということは、日本の財政赤字は、大きすぎるのではなく、小さすぎるということになる。

 財政赤字の拡大のリスクはインフレだけである以上、財政規律は『インフレ率』にすべきなのだ。

 財政赤字の拡大がインフレ圧力になるのは事実である。だからこそ、デフレ脱却を目指す日本は、財政赤字を拡大すべきなのだ」


 中野氏がMMT理論を詳細に解説した「米国発『消費増税無用論』の真贋」の全文は、「文藝春秋」7月号に掲載されている。



日本など、高インフレどころか、低インフレ、ほぼデフレですから、まったく心配ないどころか、財政赤字が足りないと言うことなわけです。インフレ率が2%を超えたのは、1991年以来いちども無いわけですから。

↓インフレ・デフレは消費者物価上昇率より、GDPデフレーターのほうがより正確な指標ですので、赤線を見てもらえればわかると思います。

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画像クリックで拡大表示されます。

と言うか、これを見ると1994年以降はほぼずっとデフレです。これをおかしいと思わないのが、そもそもおかしいのですが・・・。

そうした内容がMMTにより明らかにされつつあります。

ランダル・レイの専門書はさすがに敷居が高いので一般人が読むのはどうかと思いますが、MMTを理解する以前の基礎知識の習得には、上の記事でも取り上げられていた中野剛志氏のこの本がおすすめで、是非とも多くの方々に読んで頂きたい。



ただし、読むとその内容に拒絶反応を引き起こす方も少なからずおられることでしょう。

と言うのも、この二十年の日本の緊縮財政のために、日本はどんどん貧困化し、若い世代を貧しくした結果として結婚・出産を困難にして本来なら生まれてくるはずだった将来世代を消してきたわけですし、それどころか、自殺者を増やして間接的に多数の人間を殺してきたわけです。

しかしそれは、「国の借金は将来世代へのツケ」だから、先送りせず我々の世代でなんとかしなければ」とか、「このまま国の借金が増え続けると、いずれ財政破綻して日本が大変なことになってしまう」とか思われていたからです。ところが、それが間違いだとわかってしまうと、自分も人殺しに荷担してきたようなものですから、拒絶反応を引き起こすでしょう。

実際、デフレになってから日本では自殺者が毎年3万人を超えていました。それ以前より1万人以上増えたのです。このうち多くが経済的事情によるものです。自殺者数の増減と言うのは経済状況と相関がかなり高いのです。政府の緊縮財政のために、十数万人が自殺したことになります。戦争したわけでもないのに、これだけ人が死んでいるのです。間違った考えにとらわれて「国の借金」を減らそうとして大量自殺と将来世代消滅と言う人災に、自分も半ば荷担してきたことになります(弱者救済を訴える左派・リベラル派ですら!)。

そのことを認められるかどうか、場合によっては、センメルヴェイス反射を引き起こす可能性が高いわけです。

センメルヴェイス反射(Wikipediaより)

センメルヴェイス反射(Semmelweis reflex)は、通説にそぐわない新事実を拒絶する傾向、常識から説明できない事実を受け入れがたい傾向のことを指す。 この用語は、オーストリアのウィーン総合病院産科に勤務していた医師センメルヴェイス・イグナーツが産褥熱、今日で言う接触感染の可能性に気づき、その予防法として医師のカルキを使用した手洗いを提唱するものの存命中はその方法論が理解されず大きな排斥を受け不遇な人生のまま生涯を終えた史実に由来する。



センメルヴェイス・イグナーツ(wikipedia)より

センメルヴェイスの説が受け入れられなかった最大の理由は、「患者を殺していたのは医師の手である」という医師にとって受け入れがたい結論にあった(当時、センメルヴェイスの論文を読んだ医師が自殺するという事件まで起き、説を認めることは医師が大量殺人を行ってきたことを認めることになるからであった)。


センメルヴェイスの言うことが正しいと認めてしまうと、医師はいままで「医師の手」が多くの人を殺してきたことになります。そんな不都合な真実は到底認められない、そういう心理的反応により、センメルヴェイスの主張は無視され、彼は異常者扱いされ、精神病院に無理矢理入院させられて、看守に暴行されて死んだそうです。

それはともかく、ネットの記事に限らず、最近は週刊誌などでもMMTに関するかなりまともな解説が見られるようになってきました。良いことです。

MMTが多くの人々に理解されることによって明らかにされつつあるのは、経済学者、財界人、金融関係者、官僚、政治家、財務大臣、日銀総裁、歴代首相、日経・朝日・読売その他テレビを含めたマスコミ、池上彰などの文化人たちのおそるべき愚かさと無知です。

一般人は彼らの言うことを信じるしかありません。ですが、主流派インテリや経済政策担当者らの無知は国家にとって致命傷です。彼らの無知ために、日本は長年デフレで苦しみ続けているのですが、そもそも彼らはデフレが悪いとすら思っていないようです。そして、口を開けばインフレ対策(財政健全化、構造改革、規制緩和、身を切る改革、その他)ばかり言うのでデフレから脱却できないわけです。

それはともかく、バブル崩壊後の日本の経済政策にかかわってきたインテリ達が世界最低水準でありつづけたために、世界で唯一、20年間以上も経済成長しない国になっているのは間違いありませんし、そのことにすら気づいていないのです。バカは自分がバカであることに気づかないからバカなわけで、だからしょうがないのでしょう。

そう、日本が経済成長していないのは、別に成熟社会だとか関係無く(と言うか日本が世界で唯一の成熟社会なはずがない)、日本の経済、財政の専門家たちが世界一愚かだからと言うことです。

それを明らかにしたのが、MMTにもとづいた議論です。そしてこのMMTにもとづいた議論が国会でなされることにより、これまで隠されていた事実が明らかにされました。

(1)今のところ政府が借金できているのは、家計の潤沢な金融資産があるおかげだが、国の借金の総額がいずれ家計の金融資産の総額を超えると財政破綻する可能性がある

→ × 完全なるウソ。「信用創造」を知らないことによる勘違いです。

逆に、国会でMMT派の国会議員による質問で、とうとう財務省がしぶしぶ認めましたが、そうではありません。

政府は国民からお金を借りているのではなく、借金(信用創造)によって何も無いところからお金を作り出し、そのお金を使った結果として、国民の側の金融資産を生み出しているのです。政府が負債を増やすと、家計の金融資産は増えるのです。

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正確には、家計だけでなく企業に行く場合もありますが。いずれにせよ、政府以外の部門の金融資産が増えることには違いありません。

あと、これは、前から私が言ってますが、誰かの負債は別の誰かの資産、と言う話でも説明がつく事実です。日本国内で誰かが負債を増やせば、それと同額の資産も必ず増えています。足すと同額になります。

そもそも、通貨と言うものは、借金で増えて、借金返済で消えます。政府の赤字は、政府以外の黒字になります。政府が財政を黒字にすれば、政府以外の部門(家計と企業)の収支を合計するとトータルで赤字になっていると言うことです。

負債と資産、赤字と黒字、両方はかならずセットで同額になります。あたりまえです。


(2)国の借金がこのまま増え続けると、いずれ金利が高騰して財政が破綻する。

→これもウソです。政府の国債発行残高と金利は関係が無い。

日本は(他の国も同じですが)、過去の歴史上、常に国債発行残高(政府の累積債務)が増え続けてきていますが、金利は高騰していません。

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↑画像クリックで拡大

「国の借金」は1970年とくらべても152倍以上に増えていますが(ちなみに明治時代と比べると3千万倍)と右肩上がりに増え続けていますが、金利は上がっていないどころか、最近ではかなり下がっています。世界最大の借金の量なのに、金利は世界最低です。主流派経済学の説とは真逆のこの現実を、主流派経済学者たちはまったく説明できません。

実は主流派経済学では、「政府が国債発行すると、民間の資金需要を圧迫して金利が上昇する」と説明されています。これを、クラウディング・アウトと呼ぶようです。これがそもそも間違いで、なぜ間違いかと言うと、これは「お金の量には限りがある」と考えているからそうなるのです。(→商品貨幣論)

「限られたお金を民間と政府で取り合いすることになるから、金利が上昇する」と言うことになるのですが、この主流派経済学のウソ(間違い)がMMTと言うか、「お金とは何か」を確認することで、明るみにされました。

これらのウソ・間違い・勘違いを明らかにしたMMTの破壊力はすさまじいものがあります。

このことをわかりやすく説明している以下の動画も、是非とも多くの方々に見て頂きたいです。この動画の前半部分での、「銀行預金」とは何なのか。銀行について、歴史をさかのぼってからの説明が秀逸です。

「日本の未来を考える勉強会」ーMMTポリティクス〜現代貨幣理論と日本経済〜ー令和元年5月17日 講師:経世論研究所 所長 三橋 貴明氏


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