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トランプとバノンの目指すもの

昨日の続きです。トランプ大統領が誕生した背景には、
(1)ヒラリーがダメすぎ
(2)アメリカ社会の分断の結果
 ① 所得上位0.1%階層による経済および政治権力の支配
 ② 白人 VS その他人種

の要素があったことが大きいのではないかと言う話でした。他にも細かいのがいろいろあるとは思いますが。

とくに、アメリカ社会の分断が大きいでしょうね。社会が分断されれば、分断の結果が選挙に反映されるのは当たり前です。でも1度分断した社会は、そう簡単にもとにはもどりません。「分断をあおるな!」ときれいごとを言ってみても虚しく響くだけです。

では、トランプ大統領はいったい何を目指しているのか、それは実現可能なのかについてですが・・・

大統領の目指す政策は、彼の側近であり影響力が強いとされるバノン氏の考え方をさぐるとわかりやすいのではないかと思います。彼らの嫌いなものには3つあり、そのことから方向性がわかると思います。

(1)有色人種が嫌い
→アメリカの白人支配の継続もしくは白人の地位の維持(向上)

(2)主流派経済学(自由貿易)が嫌い
→保護主義と言うより重商主義を目指している

(3)同盟関係が嫌い
→NATOや日米同盟などへのアメリカの負担は減らしたい


(1)については説明不要かと思います。彼らが不法移民への取り締まりを強化したり、中東の国からの入国を禁止しようとしたのは、これ以上アメリカで白人以外の人種がふえるのを少しでも抑制したいと言う意図によるものです。

アメリカをふたたび昔のようなアメリカに戻したい、人種構成にしろ価値観にしろ、国際関係にしろ、その頃の体制にもどしたいと言うのが彼らの目的です。

トランプが選挙中に繰り返したフレーズ「Make America Great Again」が、まさにそのことを示しています。まあ、この言葉を最初に使ったのはレーガンらしいですが。トランプは就任演説でもふたたび「We Will Make America Great Again」と言ってます。

だから、昔のアメリカにもどしたい、なぜなら昔のアメリカのほうが強かったから・・・ですが!?

でも、白人中心にしたからと言って、再びアメリカの国力が増すのかと言うと、普通の人が考えればそれは関係無いでしょうが、なんせこれは感情論と言うか差別的な心情ですからどうにもなりませんね。いずれにしろ、彼らは昔のアメリカ、1930年代くらい?に戻したいみたいです。

これについては、まあ実現は無理でしょうから、日本としてはあまり気にしなくて良いと思います。米国内で勝手にもめて下さい。


(2)について、トランプは経済学の主流派が主張する、自由貿易によって最終的にどこの国もウインウインになれるから保護主義よりも全体にとってメリットになると言う説(リカード「比較優位論」)について、私はこの説を信じてませんが、トランプやバノンは信じる信じないではなく、嫌いなのです。

彼らの望んでいるのは、他国とのウィンウィンの関係ではなく、とにかくアメリカが勝つことです。そのためには、アメリカに都合の良い部分は自由貿易でやり、都合悪い部分は保護主義でブロックするつもりです。

彼らの目指しているのは、「重商主義」です。「重商主義」とは、現代では「輸出で経済成長」と言うのと似たような意味になります。まあ、貿易黒字で国の富を増やそうと言う感じでしょうか。

安倍首相も「輸出で経済成長」と言ってますので、一見して良さそうですが、やり方に無理があるのと、そもそも「自由貿易」によって経済成長できるとは限りません。輸出だけでなく、輸入も増えますので。

経済成長(何度も言ってる通りGDPがふえること)に関係あるのは、総輸出額ではなく、「純輸出(輸出から輸入を差し引いたぶん)」です。なので、輸出が増えても輸入が増えれば経済成長しません。

なので、本気で輸出で経済成長しようと思うならば、『輸入を制限し輸出を拡大する』と言うことになりますが、これがまさに「重商主義」です。輸出に関しては相手国に自由を要求し、輸入に関してはブロックするのです。貿易で経済成長を目指すなら、重商主義になります。安倍ちゃんはわかっているのかな!?わかっていて言っているならかなり賢いですが。

しかし、どこの国もがそんなことをするのは不可能で、輸出と輸入がバランスしているほうが良いと考えるのが一般的なようです。このへんは私はよくわかりません(勉強中)。

特定の国がひたすら輸出ばかり増やして輸入しないと、どこかの国がひたすら赤字をため込むことになります。そんな状態が持続可能かどうか、考えればわかると思いますが、ところが中国・ドイツ・日本はひたすら黒字を続けているのです。なぜそんなことが可能かと言うと、それらの黒字国の反対側に、常に赤字の国があるからです。それがアメリカです。

アメリカは、貿易赤字だけでなく、経常赤字国であり、それが長年にわたって続いています。その一方で、中国・ドイツ・日本が経常黒字をずっと続けているのです。

これを、グローバル・インバランスと呼びます。

こんな状態をいつまでも続けるのは困難だし異常だろうと言う認識がアメリカにはあるのでしょう。アメリカは中国・ドイツ・日本が作ったものをたくさん買うことで世界経済を支えていると言う見方もできます。まあ、ドルが基軸通貨だからこんなことができるのですが、そのせいでアメリカは成長できなくなっていると言うふうにも考えられます。

日本が経常黒字なのはデフレだからと言うこともあるので、デフレ脱却は実は両国にとってウィン・ウィンの解決方法なのですが(日本の内需が拡大すれば輸入も増える)、その方向性に向かうかどうか・・・

話がそれましたが、いずれにしろ、自由貿易やグローバル化によって、アメリカの一部の階層の人達は莫大な利益を得てきましたが、国力そのものは低下したとも言えます。そのぶん中国が台頭してきましたが、それこそ明らかにグローバル化の恩恵によるものです。

100年前にも世界はグローバル化しましたが、そのグローバル化を主導したイギリスは、自らの主導したグローバル化の結果として衰退し、そのぶん日米が台頭したのと同じことです。グローバル化は国家間の力関係を変化させます。

トランプやバノンの目的は、アメリカをふたたび偉大な国にすることですから、経済理論でどの国も豊かになるとかは関係無く、とにかくアメリカがナンバーワンになれるように、アメリカに都合の良い自由と保護とを使い分けようと言うことでしょう。

「お前のモノは俺のモノ。俺のモノは俺のモノ」・・・まさに、ジャイアンです。


(3)同盟関係が嫌い・・・ですが、これはイマイチよくわかりません。最近になって軌道修正していますが、当初はトランプも「NATOなど時代遅れ」などと言って批判していました。

しかし、アメリカの経済力は昔と比べてかなり低下していますので、アメリカ一国がヨーロッパ・中東・東アジアの3つの地域で軍事的覇権を維持するのは不可能に決まっています。それをやろうと言うネオコンのほうが頭がおかしいのです。

これらの3つの地域のうち、アメリカにとって利益の少ないところからは徐々に撤退して行く方向に向かうのは、トランプでなくてもあたりまえと思います。違うとしたら、撤退のスピードくらいでしょう。

とりあえず、アメリカにとっての最大の貿易赤字国は中国ですから、中国を封じ込めるつもりはありそうなので、急激に東アジアから撤退することはないかもしれませんが、いずれ徐々に撤退して行くでしょう。


それでは、最後に、これら3つの政策が実現可能かどうかと言う話になります。結論から言うと、たぶん不可能だろうとのことです。

理由は、とにかくアメリカのマスコミのほぼすべてが反トランプなので、今後いろんな情報がでてきて政権運営がままならなくなると予想されますし、出てくる情報によっては議会で弾劾される可能性もあります。

そもそも彼の主張は共和党の主流派の主張ともずいぶん異なっていますから、共和党としてはトランプをやめさせて、副大統領のペンスを大統領にしたほうが良いと考える可能性がかなり高いでしょう。

そうならないにしても、暗殺されるだろうと言っている人もいます。

いずれにしろ、トンランプ政権は長くもったとしても2−3年くらいなのではないかと言うのがおおかたの予想のようです。

最後に、トランプはバカではないと言うこともつけくわえておいたほうが良いでしょう。

日本のマスコミを見ていると、とにかくトランプが嫌いだから、彼をバカにして見下して憂さ晴らしみたいなことにばかり熱心ですが、そんなことをして何の意味があるのか!?同レベルです。

彼がバカではないのは、生い立ちを見ればある程度わかります。

彼は、父親が不動産業でものすごい金持ちの家で生まれ育ちましたが、少年時代はグレてしまい、つねにナイフを持ち歩いてニューヨークのブロンクスとか下町でケンカをふっかけてばかりの悪ガキだったらしいです。

しかし、さすがに親がこのままではヤバイと思って、無理矢理にミリタリー・スクール(全寮制で規律がものすごく厳しい)に入れたところ、めきめきと頭角を現してリーダーになり、卒業生代表になるほどだったそうです。

その後、親の事業(不動産業)の面白さを知って事業を継ぐ気になり、大学はペンシルベニア大学ウォートン校の不動産の専門学科を卒業したらしいです。この大学はアイビーリーグの超名門校で、世界的に高評価を受けているビジネススクールですから、バカでは卒業できないでしょう。

彼の性格・人格が滅茶苦茶で下劣なのは間違い無いとしても、バカではありません。

民主的な手続きで選ばれた大統領をバカにして喜ぶ、うっぷんを晴らすと言うのはレベルが低すぎると思いますし、論理的に批判するのではなく感情的に罵倒したり見下したりするのは人間の質が低い奴のすることですので、もうちょっとまともで冷静な分析にもとづいた批判や対策を日本のマスコミにはお願いしたいですが、まあある種の同類(自分の好き嫌いでしか物事を判断できない)ですから無理でしょう。

特に、日本ではワイドショーで政治を取り上げる場合にその内容がひどいですね。最近で言えば、ワイドショーがもてはやす「改革」なども誰のためにもならないことを勘違いの正義感と事実誤認と非科学的感情論で盛り上がって偽のリーダーを担いでいるだけです。国家財政に関しては財務省とその御用学者の説を垂れ流して偽の財政危機を煽って国全体を弱体化させ続けています。

日本のマスコミはアメリカ大統領のことをどうのこうの批判する前に、まず「自己批判」したほうが良いのではないでしょうか。

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