カーク船長の娯楽日記

周回軌道上から地球を眺めつつしたためた恒星日誌
ホームページへ     
TOP政治・経済・社会 ≫ 国家の分裂

国家の分裂

トランプ大統領がついに就任しました。一般大衆への人気取りをする政治家は嫌いですし、みんながなんとなく信じているが事実ではないもの(つまりデマ)にもとづいた人気取りをすると言うのが共通点ですが、そのデマをまきちらかしているのはマスコミです。

それはともかく、トランプ大統領のせいでアメリカが分断されたと言われていますが、事実は逆であります。イギリスのEU離脱でイギリスが分裂したと言うのも逆であります。

どちらもすでに国内が分裂しているから、イギリスのEU離脱や、トランプの大統領就任になったわけです。

分裂の根本原因は、グローバル化と新自由主義・緊縮財政による実体経済(需要)の縮小、、金融経済の肥大などによる格差の拡大だと思います。

あまりあれこれ挙げてもややこしいので、グローバル化の話だけに絞りますと・・・グローバル化がすすむと、損する人と得する人とに分裂し、その利害が対立します。

ここではグローバル化の定義を、人の移動(移住)、資本移動、商品・サービスの移動などにかんして極端に自由化することと、と定義しておきます。

グローバル化で得する人
・グローバル企業(多国籍企業)そのもの
・グローバル企業で管理職以上の人
・主に金融部門で金をかせぐ人=所得の多い人
・発展途上国の労働者
・発展途上国の政府
・途上国から先進国への移民
・テロリスト

グローバル化で損する人
・先進国のほとんどすべての労働者
・先進国の国内向けの商品やサービスのみを提供する企業
・先進国の政府(企業が海外に逃げて税収が減る)
・ナショナリスト

ちょっといい加減なわけかたですが、それほど間違っていないと思います。で、先進国の国民の人数で言えば、グローバル化で損をする人のほうが圧倒的に多いわけです。

グローバル化がすすむと先進国では主に製造業において、労働賃金の安い途上国に工場を移転させたり、国内市場を軽視して海外で売ることばかり考えるために、国内の資本や雇用が流出します。

従って、先進国ではほとんどすべての労働者は、その結果として賃金低下や失業の増加に見舞われますし、その上もし移民流入まであれば、労働市場における競争激化でさらに賃金低下と失業率の上昇となります。イギリスの場合は移民による社会保障のただ乗りも発生しています。EU域内からの移民には内国民待遇を認めるルールですから。

工場が移転しなくても、国内で製品を作って海外へ売る場合にも、輸出で儲けようと思うなら国内の労働賃金は安いほうが国際競争力が強くなりますから、労働賃金が安くなった方が良いわけで、賃金を上げようとしません。

そうやって、賃金が下がれは国内でモノが売れなくなり市場が縮小しますので、ますます海外進出が進み、空洞化がさらに促進するわけで、状況は悪化する一方になり、「神の見えざる手」など働きません。

そして、発展途上国では逆に先進国から投資が入ってむしろトクをするほうです。この前のダボス会議に習近平が呼ばれて、自由貿易の素晴らしさを連呼していたのは、中国などは明らかに過激な自由貿易がすすむほうがトクをするからです。ただ、グローバル資本家は、もうからないとわかるとすぐに資金を引き揚げますから、バブルになりやすいでしょう。

要するに、自由貿易をどんどんすすめて、それが行き過ぎれば、大多数の一般労働者は所得が減って行き、逆にグローバル企業そのものと、その経営陣などは儲かります。

その他、超高額所得のある人たちは、使い切れないくらいあるお金を金融部門でグローバルに運用して、さらに儲かります。

こうして先進国の国内の格差はどんどん広がって行きます。

逆に途上国のほうでは、先進国側から流入してきた資本と雇用のおかげで、経済は成長し、労働者の暮らしも良くなって行くでしょう。ただし、上に書いた通りバブルになりやすいですが。

したがって、グローバル化は、先進国の国内の格差は拡大させますが、先進国と途上国の間の格差は縮小させるでしょう。うれしいですか!?

もうかるのは、グローバル企業と国籍にしばられないグローバル金融関係者と言うわけです。

しかし、民主主義は多数決ですから、普通に考えれば、先進国では人数で圧倒的に少数派である「グローバル化でトクする人たち」の思い通りには行かないはずですが、ところがどっこい。

マスコミは基本的にどこの国のマスコミであれ、ややリベラルな勢力(左派)のほうが影響力が強いようです。

リベラルな方々と言うのは、きれい事に酔いしれがちなところがあり、「自由」と言う言葉を無条件にもてはやしたり、移民の制限を差別の問題とごっちゃにしたり、国粋主義に批判的すぎて自国が損するようなことを喜んだりする変態的なところがあります。

なので、本来は国内の弱者を保護する言動を取らなければならないリベラルなメディアが、グローバル化で広がりまくった格差を放置、無視していると言うありさまです。

もちろん、「格差が拡大していて問題だ」とかたまに思い出したようにでかい声で言ったりはしていますが、さほど解決方法も提示しませんし(小さい声で所得再分配を言う程度)、格差の拡大にグローバル化が関与していることには無頓着です。

このような理由によって、リベラルなメディアから見捨てられて貧困化する国民が増え、辛抱たまらなくなって、イギリスではEU離脱賛成に、アメリカではトランプに投票したわけです。

こうした格差の拡大や国家の分裂に気づかない人たちは、トランプの「アメリカ第一主義」の矛盾にも気づかないようです。

「アメリカ第一主義」は別にトランプだけではなく、アメリカは常にそうです。でも、アメリカと一言で言っても、利害は一致していないわけです。アメリカの中の一体誰の利益なのか!?と言うことの変化が重要なわけです。

アメリカの利益と言っても、グローバル化でトクする多国籍企業の経営陣や金融部門の人々の利益と、グローバル化で損する側の一般労働者の利益とは一致しないわけです。

従って、トランプがアメリカの雇用が大事と言うなら、グローバル化を制限する保護貿易の方向へ向かうのは当たり前ですが、マスコミや共和党の政治家に影響力の強いグローバル企業やウォール街が望むのはそうではないはずです。

トランプが本当にアメリカの一般労働者の雇用を重視した政策を実行できるかどうか、そのためにはグローバル企業やウォール街が損するような政策をやらなければならないのですから、本当にそれができるかどうかは疑問です。

例えばトヨタとか目に付くところだけツイッターでやり玉にして何かやったように錯覚させるだけで、全体としては今まで通り米国内のグローバル企業やウォール街のやりたい放題にするのではないでしょうか。

少なくとも、このトランプによってもたらされる可能性のある政策の方向転換については、日本も参考にしたほうが良いと思います。

アベノミクスが何故イマイチうまく行かないかも、これでよくわかります。

安倍首相らは、グローバル企業と一般国民の利益が乖離していることに気づいていないから、矛盾した政策を行っているのです。

1本目の矢、金融緩和には失業率を低下させる作用がありますし、これは別に誰も文句ないはずです。これに文句つける人は、ただのバカかデフレ利得者です。

しかし3本目の矢である、規制緩和・自由化・グローバル化では雇用や労働者の所得を伸ばすこと、デフレを脱却すること、経済成長すること、などは不可能であり逆効果なのです。

まあ、実際には2本目の矢である財政出動の問題ではありますが。

財政出動には雇用創出、経済成長、デフレ脱却(今となっては金融緩和より重要!)の効果がありますが、知らない人が多いですが、安倍政権はこの数年はものすごい緊縮財政です。8%への消費増税が最大の失敗要因ですが、その後に財政出動もまったくしていませんので・・・

いずれにせよ、規制緩和や自由化は競争の激化なのであって、賃金を下げたりデフレを促進する政策です。自由貿易も同じです。雇用が途上国に奪われて国内の労働賃金は減少、安い製品の流入と工場の海外移転で国内の産業は停滞・空洞化です。

でも、企業は儲かります。金融部門も海外に投資して儲けられるでしょう。

いずれにせよ、アメリカ第一とか言ってみたところで、アメリカの誰のことを言っているのか?どういう階層の人達の利益を代弁しようとしているのか、それによって意味が全く違ってきます。

1970年代は日本もアメリカも経済格差が小さかったですが、当時はグローバル化していませんでしたので、大企業と労働者の利害が一致していました。大企業が儲かれば国内に投資して賃金も上げて国民が豊かになれば、さらに購買力がまして大企業はさらに儲かると言う好循環がありましたが、グローバル化すると、それはもうありません。

過剰な格差の原因は、政策によってもたらされたものでもあります。

特にアメリカの格差はひどいもので、その原因は、1980年代以降にすすめられた新自由主義、過激な自由貿易、金融の自由化・規制緩和のやりすぎ等によるものです。

そういう政策の結果として生じた格差は、解消しなければ不公平と言うものです。政治の役割の一つに、対立する利害の調整と言うことがあります。

経済格差の解消は、貧しい人がかわいそうだから、と言うのではありません。それ自体が経済成長の阻害因子になり、長期的に見て国力を低下させる要因になるから、政治による調整が必用なのです。

安倍首相はナショナリストのはずなのに、やたらとグローバル化に熱心で、ナショナルなものを軽視するところがあります。よくわからない人です。小泉はもっと単純でわかりやすかったのですが。

それにしても、安倍首相以外の政治家で経済政策に限定して見渡してみると、もっと悪い政治家はたくさんいますが、少しでもマシな有力政治家と言うのが、野党・与党を問わず一人もいないと言うのが絶望的なところです。

トランプが本気でアメリカの製造業を復興しようと言うなら、ドル安に導こうとするでしょうから、日本はもう金融緩和ができなくなるように圧力をかけてくるでしょう。為替操作とか言って。そして円高に逆戻りです。これはかなりヤバイことです。

でも、そうならば、日本企業は国内重視に回帰して、政府もさらに財政出動を行って国内の需要を増やす政策をやれば良いのですが、また国の借金がどうのとか言ってできないでしょう。

今や日銀が保有する国債は400兆円を超えていて、これは別に償還期限が来ても返さなくできますし、金融緩和できるなら借り換えでも良いし、利払いも不要なものです。なので、日本の財政はノープロブレムなのですが・・・財務省のパワーで日本中が財政危機と勘違いしていますので。

従って、日本経済は今後さらに悪くなる一方で、良くなることは決してないでしょう。経済に関して池上彰が宮崎哲弥あたりの言うようなことをテレビで紹介するようになれば多少は変わるかもしれませんが、主流派経済学者や財務省に洗脳されているみたいですからダメです。

トランプ大統領の差別的な言動や、ツイッターでデマを利用したり扇動したりを真似する必用はありませんが、国内の雇用が重要であること、過激な自由貿易は大多数の国民にとってマイナスであり、そのためには「保護」が必用かもしれないことは学んだほうが良いでしょう。

リベラルなメディアは格差をほったらかして、何をしているのか!?池上彰も格差批判をしながら、消費増税を主張するとは、頭がおかしいとしか思えませんが、なんでこんなオッサンがもてはやされるのか。

わかりやすく説明してくれさえすれば、不正確やウソであっても良いと言うのでしょうか。まあ、そうなんでしょうね。

何か、また話がそれました。

Comment













非公開コメントにする