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タチの悪いレトリック

それにしても、不思議なと言うか、おかしな言い回しが平然とマスコミによって行われているなあと思うことがしばしばあります。

その1つが、政府の予算執行(歳出)のことを「税金投入」と呼ぶことです。この言い方はミスリーディングな表現であり、悪質なレトリックです。

除染に数千億円の税金投入 来年度から復興予算使う方針

もっとひどいのになると、そのことを「国民負担」と言ってます。

国民負担、なぜ増加? =東電事故費用が2倍に

政府が予算を執行すること、もしくはお金を使うことは、「政府の負担」なのであって、「国民負担」ではありません。

マスコミは日頃から、政府のことをまるで国民の敵であるかのような言い方ばかりして、政府と国民はまるで別物のように言うくせに、この時だけは政府=国民と言う表現をしていますからダブルスタンダードですね。

政府の予算の財源には税金による歳入が充てられているのはその通りですが、税金は政府に納められた瞬間にはもう税金ではないです。意味わかりますか?

さらに言えば、政府の予算の財源は何も税金だけではありません。これは後で詳しく説明しますが、仮にすべて財源が税金だとしても、税金を払っているのは国民だけではありません。外国人だって日本国内で所得があれば所得税を払ってますし、消費すれば消費税を払っています。さらに言えば、法人税と言うのは法人が払っているわけです。法人は国民ですか?

だから、政府の負担を「国民負担」と言うのは二重、三重の意味で不正確です。たしかに一部は国民が払ってますが、新たに追加して請求されるわけでもありません。煽り言葉、タチの悪いレトリック以外の何物でもない。マスコミが自分の価値観にあわない政府の予算執行を批判するために使う扇情的表現です。

仮に財源がすべて税金だとしても、政府が予算執行してお金を使うと言うことは、取られた税金が納税した側にもどってくると言う話ですから、そこらへんがあべこべになった表現で、この表現によって多くの国民は完全に騙されている、錯覚していると思います。

政府がお金を使うと、まるで自分の財布からお金が減って行く気がしているのではないでしょうか!?だとしたら重症です。いつのまにか完全に財務省の立場になって考えています。洗脳です。どっちかと言うと逆なのに。

政府の支出は、「政府がお金を使うことによって、納税した側に税金が戻ってくる」と言うほうがよほど正確な表現ですし、「国民負担」と言う表現は実際とはまるで逆の意味になっています。言葉の使い方によって完全に逆の意味に錯覚させることができるとは恐ろしいですね。国語力が低下しているのではないでしょうか。

ただ、いずれにしろ、厳密には政府の財源は税金だけではないので、政府の支出を「国民負担」と言うのも「取られた税金が国民にもどってくること」と言うのも、どっちも正確な表現ではありません。

国の借金は将来の増税で返さなければならないから、将来世代へツケを回すことになる・・・と言うのも間違いです。間違いの元は、「政府の財源は税収のみ」と言う勘違いによるものでしょう。

そもそも、政府が利用できる財源は税金だけではありません。3つあるのが本来の姿です。

1,税収
2,国債
3,通貨発行

この3つです。政府の予算は税収で100%まかなわれなければならないと言うのは間違った考え方で、その間違った考え方を具現化したものが、「プライマリーバランス」と言う発想です。

そもそも借金はいけないんだとか考えているなら、それは間違いです。マクロ経済を常識や道徳で考えるのがおかしいのです。政府は借金ゼロでやる必用などありませんし、それはむしろ有害です。

基本的には借金があっても、償還期限が来た時にそれを返済できれば何の問題もありません。ちゃんとまわっていれば良いわけです。政府には寿命がありませんので、個人の借金のように死ぬまでにすべて返済してゼロにしなければならないわけではありませんので、家計(個人)とは違います。そういう点では企業と似ているでしょう。

そして、政府が企業とも違う点は、場合によっては借金を半永久的に塩漬けにもできると言うことです。もちろん無制限にやればむちゃくちゃになりますが、必用な量の借金を必用な時期まで返済しないと言うことも可能なのです。具体的には日銀が国債を買い上げて、償還期限が来ても日銀が保有し続ければ良いだけです。

もう一つ、本来、政府と言うのは通貨発行もできたはずなのですが、インフレを悪化させると言う理由で現在ではできなくなっています。そのかわりに、国債の貨幣化(マネタイゼーション)と言う方法があります。

この「国債の貨幣化」のことを通俗的表現で「財政ファイナンス」と呼んで批判する人たちがいますが、おそらくデフレ利得者たちかと思いますが、デフレの時は普通にやるべき政策です。

政府が通貨発行してそれを予算にすると言うことですが、通貨発行は日銀にしかできないので、実際には「政府が発行した国債を日銀が直接に引き受けて、それを財源にすること」です。これをやらないからデフレから脱却できないのはもう明らかです。

日銀が反乱でも起こさない限り日本政府が財政破綻することはありませんので、「国の借金」の名目額が増え続けても名目GDPが増えれば何の問題もないのに、緊縮財政ばかりが進められる(結果としてGDPが増えない)のは、マスコミが愚かなせいだと思いますが、これは本当に深刻です。

政府の予算執行のことを「税金投入」と呼ぶのは、右派・左派に関係無くマスコミに共通しています。出所はマスコミに影響力の強い財務省あたりだと思いますが、この表現がいかに深刻な事態を招いているか、まったく理解されていないのが恐ろしいです。

日本は、国の借金では滅びませんが、デフレや経済成長の停滞によって間違い無く発展途上国に逆戻りです。国の借金が増えても誰も死にませんが、景気悪化や経済の停滞ではたくさんの人が死にます。

現役世代が苦しめば、そもそも将来世代は生まれてこないので、存在しなくなります。政府がお金を使うことを悪いことのように言うのは、もういい加減にしたほうが良いです。緊縮財政をやるくらいなら、無駄使いのほうがまだマシだと知りましょう。もちろん、一番良いのは有効な財政出動ですが。
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