カーク船長の娯楽日記

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ユーロは失敗

それにしても、ギリシャがまたもめてますね。ほとんどの人はこのニュースを見て、やっぱりギリシャはだめな国と思われるでしょうし、今回の件でもギリシャが悪いと思われるでしょうが、実際には微妙だと思います。

確かにギリシャがEUに加盟する時には、ギリシャはウソをついて粉飾決算みたいなごまかしをして加盟しましたから、そもそも最初からダメだったんですが・・・

EUに加盟するには、収斂基準(物価の安定性・高過ぎない長期金利・財政赤字および政府債務の健全性・為替の安定性の4つ)を満たしていなければならいのが、財政赤字をごまかしていたわけですが、でも、収斂基準の違反をしたのはギリシャだけではないようです。ドイツやフランスも安定・成長協定で定める基準に違反するようなことをしているそうなので、お互い様でしょう。




しかし、EUに加盟すると、それまで自分の国の権限でできていた通貨発行などの金融政策がまったくできなくなりますし、財政政策に関してもかなり制限されるようになるわけです。

そこまでしてEUに加盟して、一体何がありがたいのか。政府の権限でできなくなることを増やすわけですから、国家主権の一部を失い、民主政治に制限を加えるのと同じです。

確かにギリシャがEUに加盟してしばらくは、共通通貨になったと言うことで、ユーロ圏からの投資が活発になって、かなり景気が良くなりましたが、それも一時のことで、結局はバブルでした。

このバブルでドイツの銀行などはかなり儲けたくせに、ギリシャが窮地になると今度は見捨てるようなことを言ってます。

ギリシャにも問題があるのはその通りですが、EUは経済面での「共同体」です。共同体なら苦しんでいる時は助けなければなりませんし、助ける気が無いなら最初から仲間に入れるべきではないでしょう。

これまでEUやIMFはギリシャに資金援助してきましたが、それにもおかしな条件を付けてしぶしぶした感じです。

どういう条件かと言うと、緊縮策、無理矢理歳出削減しろと言って、公務員を減らしたり年金を減らしたりなど、失業者を増やしてギリシャ国民を貧しくする政策をむりやり押しつけた訳です。

いや、これがギリシャ経済の再建につながる解決策になるなら良いのですが、財政が赤字だからと言って歳出削減をしても、そのことによって景気が悪化すれば、歳入も減って、この問題は永遠に解決しなくなることがわかっていないのでしょう。

日本でもわかっていない人が多いですね。無駄をなくせとかやたら言う人。結局はみんなを貧しくしているだけ、税収を減らして財政も悪くしているだけです。

経済を良くすることができない政治家ほど、そこそこ程度の中間層を既得権などと言って叩いています(お仲間である富裕層は絶対に叩きません)。だれかを叩いて引きずり下ろしても困っている人が豊かになるわけではないのに、足のひっぱりあいで人気取りする政治が横行してますね。

話をもどして、バブルが崩壊して景気が悪くなると、税収が減るから財政が悪化するのであって、そこで政府が歳出削減をすれば、さらに景気が悪化して、失業率が増加して企業が倒産して、所得税・法人税ともにがた減りになります。

だから、こういう時には、中央銀行が通貨を発行してそれを財源に財政政策をやるとか、資産を買い上げるとかすることでデフレスパイラルに陥ることを防ぐと言うのが、高校で習う程度の経済政策です。

でも、ギリシャは通過を発行できません。ユーロのお札を発行できるのは、ヨーロッパ中央銀行(ECB)ですから、ギリシャに権限は無いわけです。

なら、ギリシャの国債をECBが買い上げれば良いだけの話なのですが、ドイツが邪魔してそれをさせまいとしている訳でしょう。

確かに、ギリシャみたいないい加減な国を安易な方法で助ければ、どこまでも面倒見なければならないような気がしないでも無いので、しぶるのもわかりますが、しかし少なくとも、今ギリシャに求められている緊縮策では何の解決にもなりません。

日本でも、景気が悪いのに緊縮財政をやりたがる人が多いですが、根本的に間違った考え方です。私も数年前までわかりませんでしたが。

国家レベルの経済(マクロ経済)は個人レベルの経済(ミクロ経済)と同じ発想でやってはダメなのです。

国家財政を家計簿みたいな考えでやるのは間違いです。

家計や企業なら、収入が減ったら支出を減らしてバランスさせてなるべ赤字は出ないようにするのが当たり前ですが、国家経済は違います。

一時的に財政赤字を拡大させて景気を回復させて経済が壊れないようにしなければならない時もありますし、そもそも政府には金融政策だってできるのです。

だいたい、今の日本でも、これだけ「赤字」や「借金」が嫌われるようになったのは、そもそもデフレだからです。インフレなら、だまっていてもお金の価値が下がって行きますので、借金も自動的に目減りして行きます。名目の額は変わりませんが、実質的に減って行きます。

そのことが投資を促進させて経済を回転させていたわけですが、ずっとデフレや低インフレが続いてしまうと、みんなお金を後生大事に貯め込んでしまい、経済がまわらなくなります。

だから、インフレにするためにも、政府は国債を発行して日銀に買わせれば良いのに、あまりやりません。

国家財政を常識や道徳の感覚で判断すると間違えます。あんまり真面目な人が政治家をやると逆に世の中をおかしくしてしまうのです。

ギリシャのようになりたくなかったら、政府の通貨発行権をもっと利用して、政府の国債を買い上げて借金をチャラにして財政出動をガンガンすれば良いのです。緊縮財政では税収が減り、何の解決にもなりません。税収を増やすのは増税ではなく、景気回復と経済環境の整備です。

話がそれましたが、他の国と経済圏を作るなんて話はやめたほうが良いと言うことです。

自国の重要な権限を失うことになるからです。

EU加盟国の場合、自国の政府が金融政策や財政政策を行うことが大きく制限されるわけで、これは「国家主権」や「民主政治」を否定するのと同じことです。

グローバル化と言うのは何かを失わなければ成り立ちません。

ハーバード大学教授ダニ・ロドリックによれば、世界経済において、「グローバル化」、「国家主権」、「民主政治」の3つを同時に満たすことはできない、これらのいずれか二つしか満たせないので、以下の①〜③のどれかを選ぶしか無いわけです。

  ① グローバル化と国家主権の選択(=民主政治の放棄)

  ② グローバル化と民主政治の選択(=国家主権の放棄)

  ③ 国家主権と民主政治の選択(=グローバル化の放棄)

①グローバル化を推進し、国家主権により関税の撤廃・規制緩和・各種の産業助成等を廃止して、民主政治(国民の利益、利益団体等の利益の確保)を放棄する。現段階のアベノミクスの成長戦略の路線であり、格差が拡大し国民の不平不満を招くアメリカ型社会を指向することになる。
 
②民主政治を選択し国家主権を放棄する。通貨を統合し国家には金融の自律性も通貨の発行権もなく、EUのようなブロック経済を構成する。EUでは現在加盟国のナショナリズムが台頭し、南欧の救済にドイツ国民が反対している。通貨は統合できても、言語が異なり国境が厳然として存在し、且つ歴史・伝統は統合できないという至極当然の結論になる。

③グローバル化を放棄し、国家単位で主権の行使や民主政治を行う。グローバル化路線は修正され、資本の異動を制限したブレトンウッズ体制(第二次世界大戦以降ニクソンショックまで、この期間資本主義が最も安定的に発展した)にもどり、各国は国内政治に専念する。ロドリックはこの③の選択しかないといっている。ホットマネー等を排除した脱グローバリゼーションである。

 ※柴山桂太「静かなる大恐慌」集英社新書参考

今の日本は①の道をすすみつつあります。EUが②です。そして、③は戦後のこれまでの国際社会の秩序がそうでした。③だから日本はここまでの国になったのです。③にもどすのが最善の策です。

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