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もはや支持できないアベノミクス

やばい状況です。アベノミクスは完全におかしな方向へ向かってます。政府がアベノミクスのバロメーターとして「株価」を重視しすぎているためです。

デフレ脱却と経済成長が目的なら、アベノミクスのバロメーターは「コアコアCPI(わりと正確なインフレ率がわかる指標」や「実質賃金」や「失業率」などのはずです。

そして最重要なのが国民所得(家計や企業など経済主体の所得)です。経済成長の定義はGDPが増えること、GDP=所得ですからね。

ところが、株価なんぞをバロメーターにしてしまうと、いろいろおかしなことになります。もちろん、株価もある程度の指標ではありますが、こればっかり見ていてはデフレ脱却に関係の無い「規制緩和」ばかりが議論されることになります。

以下、私が愛読しているメルマガから転載です。

「岩盤規制」といえば、去る6月10日、産業競争力会議は、新しい成長戦略の骨子案を発表しました。

周知のとおり、竹中平蔵氏ら産業競争力会議のメンバーは、「医療、雇用、教育、農業」などを「規制産業」と称して、これらの分野の「岩盤規制」を打破していくことに躍起になっています。

産業競争力会議のHPに掲載されている今回の「骨子案」や民間議員による補足資料をみると、「混合診療の拡大」、「外国人家事支援人材の活用」、「労働時間制度の見直し」、「公立学校運営の民間開放」、「初等中等教育での英語教育強化」、「農協の見直し」などが並んでいます。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai16/siryou.html

「岩盤規制の打破」という言葉ですが、あらためて考えてみるといやなものですね。

ビジネスの側からすれば、実質賃金が上がらずデフレ脱却ができていない現状は、人々の購買意欲が低いため、需要を発見しにくく、稼ぎにくいわけです。

そんななかでも確実かつ安定的に稼げるのは、人間の根本的な必要性(ニーズ)に関わる領域です。つまり、医療や教育、農業などの分野です。これらは好不況の波にほとんど左右されません。

ただ、この領域は人間の生活にとって基本的で欠かすことのできないものなので、従来、市場原理を直接的に導入することなく、国など公的機関が規制をかけ監督する割合が高かったのです。「岩盤規制の打破」とは、そこを開放して、ビジネスができるようにするということです。

「岩盤規制の打破」というとなんとなく前向きで勇ましくカッコいい感じがしますが、要は、ビジネスの側からすれば、「需要が見つけにくいデフレ不況のもとでも、手っ取り早く確実に稼げる領域をこっちに寄こせ」ということです。やな感じです。


本来なら、国は、こういう手前勝手な要求を抑えつつ、一般の人々の実質賃金が上がり、デフレ脱却につながるような経済政策をとるべきです。

また、ビジネス界は、市場原理になじみにくい医療や農業、教育などの「ニーズの領域」にはあまり手出しをせず、なるべくその他の分野で地道に人々の需要を掘り起こし、ビジネスチャンスの発見に努めるべきでしょう

ですが最近の政治は、手っ取り早く稼がせろというビジネス界の要求にやけに甘いですね。


一因は、一昨日の東田さんのメルマガ記事にもありましたが、政府が、目先の株価上昇を重視していることでしょう。

現在の東証の株主のうち、約3割が外国人です。また株の売買の比率ではほぼ6~7割が外国人投資家によるものです。株価動向に外国人投資家の及ぼす影響が非常に大きいため、結局、政府は、外国人投資家の顔色を窺うような政策を連発してくることとなります。

米国のジャーナリストであるトーマス・フリードマンは、経済のグローバル化が進めば、各国は経済政策の立案にあたって「国際投資家集団」の評価を第一に考えるようになり、どの国の政策も同じようなものになっていくはずだとかつて指摘しました(T・フリードマン/東江一紀他訳『レクサスとオリーブの木──グローバリゼーションの正体』草思社、2000年)。

グローバル化の進展に伴い資本移動が自由になれば、国際的な投資家たちは、最も良好な投資環境を備えた国を求めて、資本を次々と移動させていくようになります。すると各国は、投資家に嫌われるような環境(例えば高い法人税率)を放置しておけば、海外からの投資がやって来ず、また今ある資本もどんどん流出してしまうのではないかと恐れるようになります。そういうわけで各国は、国際投資家集団が好む環境を作り出すために、似たような経済政策をとっていくだろうとフリードマンは論じたのです。

フリードマンは、経済政策の自由度が低下し、一様のものにならざるを得ないということを捉えて、各国は「黄金の拘束服」を着るようになると表現しました。

日本も、外国人投資家の目を意識するあまり「黄金の拘束服」を着こむようになったといえます。

産業競争力会議が提出した成長戦略の骨子案は、そういう目で見れば非常にわかりやすいものです。「法人税の大幅引き下げ」、「労働時間規制や解雇規制の緩和」、「外国人の家政婦や労働者(技能実習生)の受け入れ」、「企業統治の強化」、「混合診療拡大」、「農協再編」、「公立学校運営の民間開放」などの議論は、いずれも外国人投資家の目を意識した「黄金の拘束服」の一例でしょう。

今月中に発表される成長戦略そのものにも、外国人投資家受けを狙ったさまざまな案がさらにたくさん盛り込まれることになるはずです。

日本の経済政策の決定の際に、雇用の安定や働きやすさ、治安、学術文化の発展など日本国民の暮らしや日本という国の長期的発展よりも、外国人投資家の評価のほうを重視するとすれば、とんでもないことです。民主主義も何もあったものではないでしょう。

前回のメルマガでも触れましたが、日本の対外純資産は最近、過去最大を記録しており、日本は世界一の債権国です。また日本企業は相変わらず多額の内部留保を蓄えています。海外からの投資がないとやっていけない一部の途上国とは異なり、日本は、国際投資家集団の目を重視する必要は、少なくとも現状ではそれほどないはずです。

日本の場合は、グローバル化への「過剰適応」といってもいい状態にあるのかもしれません。

この点に関し、年金積立金管理運用独立行政法人(GRIF)の公的年金の運用方針を見直し、より多くの積立金を株式投資に回そうという最近の議論は、危なっかしい話だと思います。

安倍政権は、今月末の成長戦略に、公的年金の運用方針見直しも盛り込む予定のようです。これも株価上昇を狙ったものでしょうが、「より多くの年金を株にぶっこむってヤバくね?」と常識ある人なら誰でも思うはずです。

さらに懸念するのは、年金積立金の運用先として株式の比率が高まってしまえば、政治が株価を気にする傾向がますます強まってしまわないかということです。

「年金制度を守るため」という名目のもと、政策立案に際して、いまよりももっとあからさまに国際投資家集団の評価を気にするようになってしまうのではないでしょうか。また、株を保有していない一般国民も、年金制度の安定性が株価動向に依存するということになれば、政府が株式市場の評価を気にかけることをそれほど強く批判できなくなくなります。

「国際投資家集団」にとっては願ったりかなったりでしょう。年金積立金の運用を通じて、日本政府が、株価の帰趨を今まで以上に気にかける政治を行うようになるわけですから。フリードマンのいう「黄金の拘束服」をより確実に着込ませることができるわけです。

一昔前に、「アングロサクソン型の株主資本主義が広まってしまえば、日本企業は、長期的な研究開発投資よりも短期的な利益を追わざる得なくなり、企業の力が削がれてしまう」という懸念がしばしば提示されていました。

ところが現在では、企業どころか日本の政治そのものが、国民生活の安定性や「国のかたち」といった長期的展望のもとに政策立案するのではなく、目前の株価の動向に一喜一憂するようになるのでないかと心配になります。


もはやアベノミクスは到底支持できるものではありません。自民党のほうは政府より少しましなのですが、政府が強すぎるし党のほうは無能な議員が増えているので期待できないでしょう。

さらに、残念なのは、他の政党も今の政府と似たり寄ったりもしくはより悪い政策か、まるきり論外のものしか無いので、もうどうにもならないと言うのが現実です。

マスコミがまともならもうちょっとどうにかなると思うのですが、半分以上は日本経済新聞などのマスコミのせいでしょう。マスコミがこの規制緩和を柱とする「第三の矢」こそ本命とか言っていたわけですから。デフレや経済成長の意味すら理解していないのでしょう。

竹中平蔵、伊藤元重、太田弘子の新自由主義三連星によるジェットストリームアタックをかわす方法を誰か考えてくれないかなあ。

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