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デフレ脱却!?

昨日と今日で、新しい日銀総裁・副総裁の体制のもと、はじめてになる日銀の政策決定会合が行われている。

アベノミクスの3本の矢のうちの1本である金融政策が本当にちゃんとはじめられるのかどうか、今回でだいたいわかるだろう。

今までは単に期待だけで動いてきたが、具体的な話はこれからだから。

少なくとも、日銀が決めている変なルール(日銀券ルール)を撤廃するとか、無期限ではなく無制限の緩和にするとか、日銀当座預金についている0.1%の金利をなくすとか、「物価目標2%」の物価指数をコアコアCPIにするとかして欲しいものだ。


デフレの定義は「2年以上継続して物価が下落すること」なので、短期的にはデフレを脱却したかどうかはわからない。

短期的(数ヶ月単位)な物価の変動は、消費者物価指数(CPI)で判断することになる。

でも、このCPIには3種類あって(CPI,コアCPI,コアコアCPI)、どれを使うかで結論が違ってしまう。

単純にすべての物価を含めた指数がCPI、価格の変動の大きい生鮮食料品をのぞいたのがコアCPI,食料とエネルギーをのぞいたのがコアコアCPIである。

なので、ただのCPIを用いてしまうと、電気料金や食料品が値上がりしただけで物価上昇と出る。しかし、だからと言ってデフレ脱却したとはかならずしも言えない。

エネルギー価格が値上がりしても、今の日本ではインフレになるとは限らない。原材料費の値上がりと同じく企業が価格転嫁できずに合理化やリストラなどと言う、いわば「無駄の削減」によって価格を抑えようとする状況になっているので、それをやると企業は設備投資をせず労働者の賃金は下がり失業者は増えることでされに需要を減らすから、かえってデフレが促進する場合もある。

と言うことなので、物価指数として用いるべきなのは、エネルギーや食料品などの物価を除いた指数であるコアコアCPIと言うのでなければならない。

今までの日銀はそういうこともちゃんとしていなかったのだから、本気でデフレから脱却しようと思っていたとは思えないし、実際に良いデフレもあるみたいな言い方をしていた。

これからまともな方向に行って欲しい。しかし、これは日銀総裁を金融緩和派に変えたからと言ってそう簡単ではない。

日銀の方針は、日銀の政策決定会合で決まるが、そのメンバーは日銀の正副総裁を含めて9人の委員で構成されているが、最後は多数決で決められる。

そして、この政策決定会合のメンバー9人のうち、金融緩和派とデフレ大好き日銀派は4対5なので、金融緩和派のほうが負けている。

安倍晋三はどうして今回の総裁・副総裁の3人とも緩和派にしなかったのか・・・

この会合は、総裁だからと言って決定についての優先権は無く、あくまで9人の多数決で決まる。

大丈夫かどうか心配である。

でもこの1本目の矢である金融政策に関しては文句は無いのだが、2本目と3本目はちょっとどうか。

主流派の考え方は、財政出動するのは良くないとのことだが、主流派が間違っているから20年もデフレが続いているのだろう。

金融緩和で増やしたお金は市場にまかせても、「効率的に配分」されるのかもしれないが、それが必用なところにまわるとは限らない。

儲かるからと言って投機マネーとなり、穀物やエネルギーの先物市場に金が大量に流れ込んで、それらの価格を高騰させてしまうこともありうるし、実際にアメリカの量的緩和でそうなったこともある。

少なくとも、市場にまかせても自然にお金が東北の復興にまわるなんてありえないので、やっぱり政府が使わなければ、本当に必用なところにはまわらないだろう。

この10年で公共事業を減らしすぎて一時の半分になってしまい、必用な事業もできずにインフラが滅茶苦茶になっている。

大手のゼネコンは良いが、中小の土木業者などはつぶれすぎてボロボロ。

おまけに、入札はすべて競争入札ばかりで、随意契約にしてもらえないので、将来的にも仕事を取れるかどうかわからないから、人を雇ったり設備投資したりできない。

いつまた公共事業がマスコミでヒステリックに叩かれてしまうかわからないから、土木業者はなかなか踏み切れないために、東北の復興もおぼつかないことになっている。

マスコミは「公共事業のやりすぎで国の借金がふくれあがった」と言うウソを長年つきつづけてきて、それがバレては困るためかどうか、本当のことを報道しない。

借金が増えた大きな理由は、社会保障費の支出が増えたことと、政府の税収が減ったことの二つであり、特に政府の税収が異様に減った理由はデフレと不景気を放置しつづけたせいなのだが、それがちゃんと報道されているのはほとんど見たことがない。

一度公共事業を悪者にしてしまったために、なかなか本当のことが言えなくなっている。

もちろん、無駄な公共事業と言うのも少なからずあったのは確かだが、そんなもの全体のうちのごく一部にすぎない。

そのごく一部をやめるために、必用な事業も含めて半分に減らしてしまったのだから、インフラも日本経済もおかしくなって当たり前だろう。

それから、アベノミクスの3本目矢である成長戦略がこれまた怪しい。

経済を成長させるのはイノベーションであると言うのは正しいのだろうが、規制緩和と自由化と言うのは間違いと言うか、少なくともデフレである今の日本には当てはまらないし、また、どのような分野にイノベーションを起こすかを政府が決めたり、正しく予測することはできない。

産業政策みたいなのがうまく行かないのは歴史が証明している。

そもそも、規制緩和や自由化は、新規参入をうながして競争を激化させることによってサービスの質を上げたり供給能力を増やそうとするものである。そのことによって、安くて良いものの供給を増やすのが目的。

で、少し知能のある人なら、そこで気づくと思うのだか。

今の日本はデフレ(=物価が継続的に下がること)で、その理由の一つは、需要よりも供給が多いからである。

供給が多いために物価が下がっているのに、規制緩和して供給をさらに増やして物価をさらに下げようとするって、何かおかしくね!?みたいな。

そうなんです。規制緩和も自由化も、物価を下げるための政策なのだ。だから日本でもバブル以前のインフレの頃にやっていれば、まあ良かったかもしれないが、今やるのは完全にずれている。

タクシーの規制緩和が良い例だが、みんな金がなくてタクシーに乗らないのに、規制緩和してタクシーの台数を増やしても客は増えずに競争だけ激化して、タクシー会社がバタバタ潰れ、運転手の給料はどんどん下がってやって行けなくなるだけである。

タクシーに乗れる人を増やすような政策をやらなければ、デフレから脱却はできないし、それは規制緩和ではない。

もちろん、需要が十分に満たされていない分野に限れば可能かもしれないが、たとえば医療の分野などはそれなりの資格が無いと職を得ることができないので、そういう分野で雇用を増やすには時間がかかる。それを規制緩和や市場原理主義で無理矢理やろうとすると、かならず滅茶苦茶なことになるだろう。

他の分野にしても日本企業がぱっとしないのは、政府の規制のせいではない。ソニーがスマートフォンを開発できなかったのは、当たり前のことだが、別に政府が規制していたからでなく、日本企業が投資や研究開発などせずに、ひたすらコスト削減やリストラばかりして、内部留保をためることばかりに一生懸命だったからだろう。

今までの主流派の考え方が間違っているから20年もデフレが続いている。そろそろ考え方を変える時ではないか?

規制緩和・自由化なんてもう古いと言うことであり、ケインズ主義みたいに古いと思って捨てていた考え方がむしろ今の時代にぴったり合うと言うことだってあるだろう。

安倍総理は、まず竹中平蔵は論外として、次に金融政策に限ってしか正しくない高橋洋一や浜田宏一の言うことよりも、総合的な政策において正しいと思われるクルーグマンやスティグリッツの言うことをもっと聞いたほうが良い。

と言うか、変な成長戦略とかせず、財政政策もちゃんとやるし、グローバル化への警戒心を怠らないのならば、クルーグマンやスティグリッツの考えに近いので文句は無い。

まあ、総理がデフレ脱却の重要性と必要性を唱えてそのために日銀の総裁人事が話題になるなど、日本もずいぶん良くなってきたなとは思うので、あまり贅沢は言っていられないか。

民主党政権が続いていたり、自民党でも石破が首相になっていたりしたらこうはならなかっただろう。

また世間の関心が変な方向に向かないことを祈るばかりである。
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