カーク船長の娯楽日記

周回軌道上から地球を眺めつつしたためた恒星日誌
ホームページへ     
TOP迷い・不可解 ≫ 常識の勘違い

常識の勘違い

日頃自分たちが信じている常識が間違っていると言うのも面白い。常識で考えると逆に間違えてしまうことがある。

特に、国家レベルの規模での経済現象を考える時に、常識的な発想や道徳観念を持ち込むと、かえっておかしなことになる場合がある。もちろん、正しい場合もあるが。

その一つが、「競争」と言うやつだろう。

一時、小学校の先生らが、児童たちをひたすら平等に扱うことばかりに熱心で、運動会の徒競走などみんな並んで同時にゴールさせる、順位をつけない、などと言う話を聞いたことがある。

そんなむちゃくちゃな!と言うのがおおかたの常識だろう。

その常識は私は正しいと思う。

競争に勝ち抜く、また少々のことで負けたからと言っていちいち傷つかずに他の何か得意なことで挽回する、などの強い心を育てるのも教育だろう。

だから、教育の過程において、「競争」と言うことが重要なのはその通りである。

では、何事も競争で良くなるだろうか?

たとえば、国の経済について。

昔から、日本は悪平等の社会で、みんなすぐ談合するし、官が規制ばかりして民間の競争を邪魔している・・・みたいに言う人がいるが。

規制緩和して新規参入をうながし、競争をすすめることで経済を効率化させると言っている人もいる。

これって、正しいか?

正しい場合もあれば、正しくない場合もある。

それぞれの分野や、その時々の経済状況によりけりである。

たとえば、どういう場合に「競争」が正しい処方箋になり得るか。


モノやサービスが不足している場合、需要が十分に満たされていない場合です。この場合は、規制緩和して競争をうながすことで、確実に良くなるだろう。

タクシー業界を考えてみればわかりやすい。

バブルの頃、景気が良くてみんな終電の後まで飲んで、帰りにはタクシーを拾いたくても拾えない。乗車拒否が頻発。

札束を振り回さないと止まってもらえないくらいに、タクシーの台数が不足していた。

タクシーに乗りたいと言う客がたくさんいて、それが十分に満たされていない状態、つまり「需要が満たされていない状態」=「タクシーの供給が足りない状態」である。

需要>供給  ・・・だから価格がどんどん上がりサービスの質も低下して行くと言う訳です。

これって、インフレのことです。

こういう場合は、タクシー業界の規制緩和を行い、台数制限などの規制を撤廃して、新規参入もうながすことにより、タクシーの「供給量を増やす」ことが可能になる。

で、タクシーの供給量を増やすことにによって競争がおこり、価格が落ち着きサービスの質も向上するわけです。

なので、こういう場合に「規制緩和」とか「競争」とか言うのは正しい。

ところが、今は何ですか?

そう、今はデフレです。バブル頃の逆です。

デフレとは、需要に対して供給が多くてあまっている。

供給>需要 ・・・だからモノやサービスが売れずに価格がどんどん下がって行くわけです。

そんな時に規制緩和して競争させればどうなるか?

客がいないのに、タクシーの台数を増やしても、タクシー会社が潰れるだけです。

で、会社が潰れたら失業者が増えて、ますますタクシーに乗れる人=客も減ってしまう。失業者はタクシーなんか乗れません。

と言うか、そもそもデフレの時に事業をやっても儲からないから、規制緩和されたからと言って新規参入するほうがどうかしているか、余程の資金力がある大企業しか無理なことです。

なので、デフレが続いている今の日本で、規制緩和とか競争とか言っているほうがどうかしている。

もちろん、細かく見て行けば、需要が十分に満たされていない分野もあるだろう。スマートフォンが売れたり安い服や安い家具は売れているのだから。

でも、国全体として見た時に、供給能力の問題ではなく、需要が足りないことが問題なのだ。

需要を増やすためには、国民(家計や企業)の所得を増やすしか無い。

そのためには、政府がお金を配るのではなく(貯金にまわっては意味が無い)、景気を良くすることしかあり得ない。

で、景気を良くするには、みんながお金を使うしか無い。

でもデフレだとお金を使わないから金融緩和してお金を使いたくさせる(インフレだとお金の価値が下がって行くので、投資しないと損をする)、そして、政府が財政出動して積極的に国民(企業や家計)の所得を増やす。

このオーソドックスな方法しかありえない。

金融緩和と財政出動と両方をやる以外にはありえないが、そのまともな政策をかかげている政党は、たった一つしか無い。

この15年続いたデフレのせいで、自殺者が増えて、合計15万人も死んでいる(概算)。

原爆に匹敵するくらいの死者を出していることにいいかげんに気づくべきだろう。

あたりまえだが原発よりもデフレのほうがたくさんの死者を出しているのだ。

命が大事とか言うなら、デフレ脱却を言わないのはどうかしている。たんに無知なのか無視しているのか。

すくなくとも、デフレの時に規制緩和の方向性と言うのはあり得ない。

供給過剰のデフレの時に、さらに供給能力を増やそうと言うのだから。

供給過剰な状態が続けば、供給能力は壊れる=企業が倒産する。

企業の倒産や失業者が増えれば投資や消費が減る=需要がさらに減る。

こうやって、デフレスパイラルに陥って、底なしに経済が縮小して行くのだ。

なので、デフレの時に「規制緩和」を言うのは、日本を底なしの泥沼に落とし入れるのと同じことである。

何度も言うが、今の日本で経済が活性化しないのは、別に官がやたらと規制して民間の活動を邪魔しているからでも何でも無く、単にデフレだからです。

デフレ下で投資しても儲からないから、企業はひたすら経費節減やリストラ(=合理化)することでしか利益を上げられない、売れる見通しが立たないんだから研究開発しても投資しても無駄だからです。

賢い民間は、儲からないデフレの状況下で投資なんかしません。こんな時期に起業したり大規模な投資したりするほうがどうかしているのだ。

だから、デフレ脱却を言わずに規制緩和などと言っているのは、完全にピント外れの大間違いで、むしろ民間のことを何も理解できていない人たちとしか思えない。

頭の中がバブルの時のまま!

競争は、インフレになり好景気になりバブルになりかけたら、その時にやれば良いのだ。
迷い・不可解 | Comments(0) | Trackbacks(-)

Comment













非公開コメントにする