カーク船長の娯楽日記

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脳科学は危うい・・・

昨日の晩にNHKで脳科学にもとづいた人の育て方というような内容の番組をやっていたが・・・

まず、脳科学者として出てきた茂木健一郎氏、とても科学者らしからぬものの言い方であった。

あまりに断定しすぎである。どうも、プロジェクトXの後番組らしいが、あんな良い番組の後にこんな番組が・・・とは、あまりにも残念すぎる。

たしかに、最近の研究はすすんでいて、脳についてかなりのことがわかっているが、人間の脳は動物の脳と違うし、実験することができない。

バラバラにしたり、機能を破壊して実験するということを、動物を使ってはできるが、人間を使ってはできないのであるから、一番肝心な、人間と動物で違う部分については、あいかわらず未知のことが多いのである。

またさらに、人の育て方について、昔から言われているあたりまえのことに、後付で科学的な理屈をくっつけて、さも最新の脳科学の研究から導き出された方法であるかのように言って見せたりと、ひどい番組だった。

さらには、自分の説にたまたま都合の良い例だけを持ってきて、だからこの説は正しいのだという、およそ科学者が絶対にやってはいけない論法、マスコミが世論操作のときによくやる論法でものを言っていた。

たとえば、人を育てる時、勉強させるとき、それはやっぱり自主性に任せるというか、本人が自主的にやりはじめた時が一番学習するのに効果があがる時であるという話。

それは昔からその通りだし、常識的に考えてもあたりまえのことである。それを、さも、最新の脳科学の研究成果としてわかったかのように言っていた。

私だっていつも学生に言っている。学ぶほうに自主性というか「やる気」が無いと、いくらこっちが上手に説明しても無駄なのである。こっちが上手に説明できているかどうかは別にして(笑)。

だから、自主性が大事というのはその通りである。しかし、その先が危うい。

本人の自主性に任せなければならない、だから強制してはいけない、自由にやらせて見守るだけにしなければならないと言っていた。

そして、その証拠というか例として、ボリショイバレーで活躍している日本人の踊り手をとりあげ、彼の両親にインタビューしていたが、その両親は、ともかく息子がやりたいと思うことをとにかく自由にやらせて、ああしろ、こうしろとは決して言わずに、子供がやりたいと思うことをいつも応援してきた・・・なんて言っていた。

子供の自主性にまかせたから、自分の子供が成功した・・・とでも言いたげであった。

しかし、そうだろうか?

たしかに、この両親は子供の自主性にまかせ、背後から見守りバックアップするだけだった。

しかし、それは、その子供が興味を持ったのが、たとえばバイオリンとか水泳とかバレーとか、そういう健全なものばかりだったから、そうできただけの話だろう。


子供の自主性にまかせ、やりたいことをやらせると言っても、ではもし子供がろくでもないことにばかり夢中になったらどうするのか?

暴力や万引きや異性をたぶらかすことばかりに夢中になったらどうするのか?それでも暖かく見守ったか?

たまたま自主性にまかせたらうまく行った例を一つだけ持ってきて、だから子供の自主性にまかせればうまく行くんだ、みたいなことを言うのは、かなり乱暴すぎると思う。

およそ科学者がやってはいけない論法である。マスコミはよくやるし、その論法に簡単にひっかかる人があまりにも多すぎるということも問題だが。

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本屋で「自己啓発」本のコーナーに並んでいる本なんかと同じくらいに怪しくうさんくさい内容なのではないかと思ってしまう。

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