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リテラシー

リテラシーという言葉のもともとの意味は、「読み書きの能力」ということのようだが、最近は他の意味でも使われている。

特に、マスコミ報道やインターネット上の情報から必要なものを引き出す能力、またその情報の真偽を見抜き正確に理解する能力、理解した情報を活用する能力のことを言ったりする。

昔、私が学生だった頃、大学の講義で先生が「この教科書には間違ったことがたくさん書いてあるので注意するように」と言ったことがあった。

私はびっくりした。出版されている本に間違いなどあるとは想像したこともなかったからだ。あったとしても、誤植とかそういう種類のミスだけだろうと思っていた。アホである。

最近、自分で講義するようになって、何冊もの本をチェックしていると、明らかに間違っているもの、微妙なもの、不正確なもの、そういうのは山ほどあることを知った。

また、自分で勉強したり情報を集めたりしていると、マスコミ報道がいかに偏っているか、中には間違ったものが多いか、そういうことにも気づくようになった。

しかし、普通の人はそんなこと考えない、そもそもそんな暇ないから、新聞の見出しをなんとなく眺めたり、テレビのニュース番組を無意識に見たりするだけ、その報道を疑ってみようとも思わないで知らないうちにすり込まれている、そういうものだろう。

そもそも、東大のお偉い先生だって案外たくさん間違いをしている。

というのも、最近、何かの参考にならないかと思って買った本を読んでおどろいた。細かい部分で間違いだらけなのである。

この本。

生命に仕組まれた遺伝子のいたずら (東京大学超人気講義録 (file2))生命に仕組まれた遺伝子のいたずら (東京大学超人気講義録 (file2))
(2006/03)
石浦 章一

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これ、東京大学の人気講義を本にしたものと書いてある。分子生物学が専門の偉い先生が、東大の文系の学生相手に、わかりやすく、最近の生命科学のトピックスを解説する講義をそのまま本にしたようだ。

講義だけならば、しゃべっていることの中に少々間違いがあっても、聞き流されて終わりかもしれない。聞いているのはせいぜい100人くらいだろう。そのうち、何人が覚えているか。この内容は講義というより、雑談に近いようなものが多いから、だからたいして影響は無いかもしれない。

しかしそれが、このように本になってしまうと、もう全国に広まってしまう。知らない人は間違っている部分も信じてしまうだろう。

たとえば、チンパンジーからヒトへと進化したように書いてあるが、それはよくある間違いである。この先生、進化については専門ではないのだろう。でも、私も専門ではないが、それくらいは知っている。

今の学問というのは、ものすごく専門化・細分化・複雑化しているから、自分の専門外のことがあまりわからないのが普通なのだ。

また、わかりやすい説明をこころがけると、かなり不正確になりがちである。「わかりやすい説明」には注意が必要なのだ。

こうやって、細かいことの間違いを東大の文系の学生にして、彼らが将来偉くなって世の中に出て、また間違いをまき散らすかもしれない。


そういえば、東大の文系出身の立花隆というオッサンは、自然科学にも興味あるらしく、いろんな本を出しているが、これも間違いが多かった。

まあ、生命科学の話だから社会に与えるマイナス影響は少ないとは思うが、たとえば、政治や経済やその他で間違ったことを教わって、そして彼らがマスコミにでも就職して、またそのデマを拡大再生産とかしたら、世の中は間違いだらけになるだろう。

実際、世の中が間違いだらけになっているメカニズムは違うとは思うが、本に書いてあること、それがいかに立派に装丁された本であろうと、またどれほど立派な権威を持った新聞に書いてあることだろうと、間違えることはいくらでもあり得るものなのだ。

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