カーク船長の娯楽日記

周回軌道上から地球を眺めつつしたためた恒星日誌
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経済学者と銀河帝国

読みたい本がたくさんありますが、なかなか読む時間がありません。なので、以前から以下の本をひさしぶりに読んでみたいと思っていつつも、なかなか買うことができずに迷っています。

アイザック・アシモフ「ファウンデーション」シリーズです。

     

 

アシモフと言えば「ロボット三原則」の考案者でロボットものが有名ですが、もう一つの代表作には、「銀河帝国興亡史」の別名でも有名なこの「ファウンデーション」シリーズがあります。

さて、以下のうちでアシモフはどれでしょう(笑)。

170408ishimovs.jpg

どうしてこれがまた読みたくなったかと言えば、きっかけは、経済学者のポール・クルーグマンです。

170408kuruguman.jpg
↑ちなみにこれは2009年5月の話です。

クルーグマンはSFマニアであり、スタートレックにも詳しいことで有名です。結構口もわるくて論敵をボコボコに批判する人ですが、その批判相手を、スタートレックに出てくる最大・最強の敵である「ボーグ」に例えたりしています。

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↑異星人・異文明を次々に「同化(assimilate)」することで強力・強大なパワーを持つボーグのドローンたち。

それはさておき、アシモフの銀河帝国興亡史の続編を最近になって現代のSF作家たちが書いたそうで、そのイントロ(解説)をクルーグマンが書いたと聞きましたので。内容はこちらで和訳されています。

面白いことに、クルーグマンが子供の頃になりたかった職業が、このファウンデーションシリーズの主人公ハリ・セルダンの「心理歴史学者」だそうです。そのことが解説で述べられていますので、抜粋します。


「僕は心理歴史学者ハリ・セルダンになりたいと思いながら大人になっていったんだ。人間行動についての数学を理解して文明を救いたいと思いながら。」

「このアイデアが物語全体の基礎となっている。ファウンデーションの中では小さな数学者の集団が、上で述べた社会についての厳格な科学である「心理歴史学」を生み出す。彼らが住む強大な銀河帝国にその科学を適用してみて、彼らは実は帝国が最終的な衰退の過程にあることを見出す。

そしてその崩壊のあとには、3万年にわたる野蛮の時代が続くことになる。しかし、彼らはまた慎重にデザインした誘導により、この道筋を変えることができるのを発見する。帝国を救うことはできないが、しかしやってくる暗黒時代をたった千年にまで短くすることはできる、ということ。」



Wikipediaより


心理歴史学(Psychohistory)は、アイザック・アシモフのSF小説ファウンデーションシリーズ(銀河帝国興亡史)に登場する架空の学問である科学分野。

膨大な数の人間集団の行動を予測する為の数学的手法。社会的、経済的な刺激への人間の感情や反応に一定の規則を見いだすことで、未来の人類の行動をも予測しうる。

ファウンデーションシリーズの根幹をなす小道具である。アシモフはこのシリーズで、エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』を参考にした宇宙未来史を描く事を構想したが、同時にSF的要素として、人類の未来を数学的に予測する手段を作品に導入する事を思い立ち、気体分子運動論において、個々の分子の運動は予測できないが、集団の気体ということなら平均の運動は計算できるという事のアナロジーとして、分子を人間に、気体を人間の集団に置き換える事で「心理歴史学」を考案した。

心理歴史学による未来予測が可能かどうかは、以下の3点が重要であるとされている(これらは気体分子運動論の基本原則に直接対応している)。

①個人ではなく、膨大な人数から構成される集団を扱うこと(気体分子単独で無く、膨大な数の分子を含む気体を扱うのと同じ)
②人々が心理歴史学による予測の内容について知らされず、その影響を受けずに自発的に行動していること(気体分子のようにランダムに行動すること)
③扱う集団が人類のみで構成されていること(気体分子以外の要因が存在しないこと)

過去の歴史の評価よりも、未来予測に主眼を置いている点で、むしろ「心理社会学(Psycosociology)」という名称の方がふさわしいのではないかとの意見があり、後年アシモフ自身もそれを認めながら「当時は『銀河系宇宙の歴史を描く』という考えに取り憑かれていたために『心理歴史学』という言葉しか考えつかなかった」と述べている。

また同時に「人間集団の行動と気体分子運動論の間にはやはりアナロジーは成立しないのでないか」と述べ、むしろ近年登場したカオス理論に言及している(『ゴールド -黄金』)。

これを反映してか、アシモフの死後に3人のSF作家により書かれた『新・銀河帝国興亡史』3部作では、人類社会の秩序を破壊しようとする「混沌(カオス)」と、心理歴史学により秩序を護ろうとするセルダン達との対決の構図が描かれている。



で、あたりまえですが、「心理歴史学」という学問は存在しませんので、クルーグマンは、それに一番近そうな経済学(マクロ経済学)を学ぶことにしたそうです。


世界三大SF作家であるアシモフ、クラーク、ハインラインの3人のうちで、若い頃の私は、クラークが一番好きでした。

クラークの作品は、ファーストコンタクトものが多く、そのコンタクトの相手となるエイリアンも、未知で神秘的で超越的な知性を持つおだやかで謎の存在であることが多かったです。そこらへんが好きでした。

一方、アシモフとハインラインはあくまで人間が主役です。ハインラインの場合は右翼っぽいと言うかファシスト的・好戦的な感じで当時の私には好きになれませんでした。アシモフは未知なるエイリアンがあまり出てこないのでもの足りなく感じました。しかし、今ならば逆にアシモフのほうが楽しめそうです。

銀河帝国興亡史は、あくまで人類の歴史、未来史です。今と同じ人類が宇宙に出て、帝国を築いて壮大な物語を展開すると言う内容です。SFに科学だけでなく人間の行う政治・経済・外交などの問題が取り入れられているわけです。

なので、思い切ってまた買おうか、はたまた、最近はマンガ化もされたようなので、とりあえずマンガ版を買ってみようか・・・悩んで迷っているうちに、買わずにいます。ゴールデンウィークにでも読もうかな!?

    



なかなか長い本を読む時間が無いので、たくさん本を買っても連休くらいにしか読めないでしょう。以前は、電車の中でスマホアプリ(kindleやhonto)で電子書籍を読んで喜んでましたが、目が崩壊しました・・・

仕事中も論文を読んだり資料を整理・作ったりでパソコン画面を見ている時間が長いために、電車の中では目を休めるようにしないと大変です。帰宅後も、あまり目を酷使すると翌日が大変です。

私は老後の趣味として、釣りにはあまり行かず、読書と映画・音楽鑑賞をメインにするつもりでいるので、目や耳がこれ以上に衰えると先が恐ろしいことになります。

釣りは肉体的ストレスが大きいので、いつまでやれるかわかりませんし、もともとアウトドア派ではありませんので。体力維持の努力は続けるつもりですが、老化速度を遅らせても止めることはできません。

体力だけでなく脳だって老化するだろうと言われるかもしれませんし、アルツハイマーなどなれば終わりですが、そうでうなければ実は年を取ってからでも思索にふける脳領域は拡大することが脳科学で証明されているそうです。本当かどうか確かめてませんが、そう信じたいからとりあえず信じてます。それが本当なら若いころよりもむしろ色々考えるのには老後のほうが良いのではないかと思えますので。

最近また政治や経済に関心が出てきて、暇つぶしにそちら方面の読書をしているのは、きっかけはいくつかありましたが、老後の趣味の足場を作るためと言う目的も最近加わりました。

もともと、高校生の頃に「将来大人になったら何をしたいか?」の答えとして、「真・善・美」の追求である、と当時の日記に書いてありました(恥)。実際には「偽・悪・醜」まみれの大人になってしまいましたが(爆)。若い頃は恥ずかしいことを平気で言うものです。

真善美にかかわる職業と言えば、学者か芸術家です。芸術家は無理だとしても、勉強すれば学者になれるかと思ってめざしましたが、実際にはまともな学者にもなれませんでした。

なので、職業としてはもう無理ですから、老後の趣味でどれかを実現しようと言うわけです。結果は自己満足で良いのです。

「真」に関しては、対象が自然・宇宙ならば理論物理や宇宙論、量子力学など?、人間が相手ならば哲学あたりを学ばねばならないでしょう。

「善」に関しては哲学、倫理学、宗教学などでしょうか。

「美」に関しては音楽・美術などかな?

まあ、この中で、年を取ってからでも思索可能な分野と言うと、哲学あたりでしょう。

価値観にかかわる学問としては哲学の中に政治哲学と言うのもあり、宗教の教えもそうかもしれませんが、そういうものを勉強することで、何が善なのかと言うことを考えると言うのは老後も可能なのではないかと思います。

逆に、自然科学は思索によって真理にたどり着くことができる学問ではありません。仮説を立てる部分は思索が重要ですが、真実かどうかの判定は実験と観察に委ねられるわけですので、老後に一人では難しいでしょう。

価値観については何が正しいかなどいつまでたっても決まりませんので、逆に言うと、永遠に考えるネタが尽きないで結論に達しないから、死ぬまでやることがなくならなくて、かえって良いかもしれません。

なんか、またまとまりのないことをグダグダと書いてしまった・・・
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経済成長で解決に向かう諸問題

経済成長の必要性について、一つ下の投稿の続きです。また長くなりましたので、余計に誰も読まないだろうと思えるので、文章の推敲や誤字脱字チェック、論理性の確認などは十分にはしていません・・・。

何のために書いているのか!?ブログでこういうことを書く理由は、自分の頭の中を整理して理解を深めるためであり、読む人のためではありません。読む人がいるとも思えないし(笑)。変わった趣味だと自分でも思います。究極の自己満足。

少しかっこつけて言えば・・・何が真実なのか?をあらゆる分野で探求することが人生の目的の一つと考えているので、暇があれば考えるのが好きなのです。

なら公開する必用もないですが、あとで正しいことを書いていたことがわかれば、その時には自慢します。間違っていたとわかれば、こっそり消します(笑)。




さて、今の日本に経済成長が必用な理由は、一つ下の投稿でだいたい大まかに書きましたし、要点だけ言えば、日本は貧しい人が増えているので、政治の目的として国民を豊かにする、豊かさを保つ、これくらいは必用だから、そのために必要最小限の経済成長率くらい確保しましょうということです。

日本の場合、適度なインフレ率を維持して名目成長が2−3%くらいであれば可能ですし(実質1%はできているから、インフレ率を1−2%程度にすればよい)、さまざまな問題(後述)は解決に向かいます。

実質成長率を大きく高めるのは難しいでしょう。少なくとも新自由主義色を排除していない安倍政権にはできないことです。しかし、適度のインフレにするくらいはしなければならないし、その手段もはっきりしています。このまま金融緩和を続けて、それを財源に財政出動すれば良いだけです。ここまでは安倍首相も理解しています。なので、他よりマシな点です。

そこで、①右派ならば防衛費増額とか軍需産業とかに財政出動、②左派ならば社会保障・福祉方面へ財政出動、③地方を重視するならば社会資本(特に地方のインフラ整備等)に財政出動、④その他として災害対策、教育、研究・開発、産業振興などに財政出動

この①〜④のどの財政出動を優先するかにおいて議論が起こるとか、与野党が対立すると言うならわかるのですが、金融緩和するかしないかで与野党が対立し、財政出動してはいけないことで与野党がほぼ一致しているわけですから、もう絶望的です。

と言うか、金融緩和で財源を作って財政出動とは左派の経済政策です。クルーグマンもスティグリッツもピケティもみんな左派・リベラル方面の経済学者です。

ちなみに日本の左派のエコノミストでも、立命館大学の松尾匡氏、経済評論家の森永卓郎氏、エコノミストの菊池英博氏などは金融緩和+財政出動で②を主張していますが少数派ですしマスコミでも軽視されて影響力が低いです。

  

  

  

あと、左派?の経済学者やエコノミストは、日本はもうだめだ、デフレを我慢して経済成長もせず先細りするしかない、みたいなのしかいないです(浜矩子など)。この論調は、不思議と高齢者にウケが良いみたいです。

ちなみに、日本のリフレ派と言われる学者集団は非主流派・超マイナーでまったく影響力がなかったのが、安倍晋三にその政策を採用されて代表格の岩田規久男氏が日銀副総裁にまでなりましたが、彼らは金融緩和に偏重で財政政策は軽視していました。結果として消費増税をやる口実に金融緩和が利用されてしまい、不十分な結果になったわけです(いちおうリフレ派は消費増税には反対してましたが)。それで、最近になってようやく財政出動もしたほうが良いと言い出した訳です。遅すぎです。

あと、実際に政府に影響力の強い日本の主流派と言うか、東大や慶応の経済学者連中はほとんど財務省の御用学者ばかりで(中には財務省からの天下り教授なども)、緊縮財政・消費増税・プライマリーバランスばかり言ってます。




また話がそれました。それでは、適度な名目成長によって解決に向かう日本の問題とは何かですが、①「国の借金」の増加、②社会保障費の増加 ③経済格差の拡大、④少子高齢化
この4つです。

①「国の借金」の増加問題

これに関しては、名目成長だけでほぼ解決する問題です。あとの②〜④は、適度な名目成長が維持されたからと言って、問題が完全に片が付くと言うわけではありませんが、改善のための必用条件であることは間違いありません。

そして、①の問題があるからこそ、勘違いからプライマリーバランスを目標にしてしまっている結果として、②も問題になっているのであり、③を放置せざるをえない現状になっているわけです。

そして、④も若い世代の雇用が派遣ばかりになってしまっている結果として結婚も出産もできないことで急激に進行しているわけです。

④については、経済的理由だけではなく、価値観や社会構造の変化による部分もあり、どっちみち少子高齢化の方向はどうにもなりませんが、経済的な理由で結婚したくてもできない、子供を持ちたくても持てない人がそうできるようになれば十分なので、価値観や社会制度にまで踏み込む必用はなく、経済的理由だけ解決すれば良いと私は思います(いずれ人手のいらない社会になりますし)。

話をもどしまして、国の借金の増加ですが、今の日本の財政は危機でも何でも無い、アベノミクスの金融緩和で財政再建終了と書きましたが、長期的にそのままで問題がないわけではありません。

本当の意味での財政の健全性の指標は、「政府債務対名目GDP比が発散しないこと」です。財政の持続可能性こそが重要だからです。

「国の借金」が増えていても名目GDPも増えていてその比率が大きくならず維持されていさえすれば、その国の財政は持続可能ということになります。

で、普通は名目GDPが増えて行くものですから、その増加の範囲で政府は毎年の赤字を拡大しつづけても大丈夫。国債の利払いと償還がちゃんとできていれば問題無しと言うことです。そうやってまわしてゆくものです。

さらに、名目GDPが増えれば税収も増えますので(後述)、一石二鳥です。

別に政府債務をゼロにする必用などありませんし、どこの国もそんなことしていません。なぜ無理して経済を滅茶苦茶にしてまで国の借金をゼロにする必用があるのでしょう?誰かの借金は誰かの資産です。政府が借金を減らせばそのぶん資産を減らす人がいるわけです。

政府の財政赤字の拡大は、国民(家計と企業)の所得増加になります。逆に、プライマリーバランスの黒字化は、国民(家計と企業)から所得を奪うことになるのです。これをわかっていない人が多いので困ります。

話がそれましたが・・・

では何故名目GDPが増えれば税収も増えるのか、ですが・・・

税収がどこから来るのか?それは課税対象 ≒ 名目GDPです。税金と言うのは大半が所得にかかるものです。その所得の合計がGDPです。

所得税も法人税も、そして、消費税も所得が発生する時にかかります(所得を得るほうではなく与える側に税金がかかりますが)。

一部、固定資産税と言う変な税金もありますが・・・。
厳密には「所得課税」50%、「消費課税」35%、「資産課税(固定資産税と相続税)」15%、です。

いずれにしろ、税収の増減は名目GDPの増減と相関・因果関係ともにあるので、以下のような近似式が成り立ちます。

「税収 = 名目GDP × 税率 × 税収弾性率」

税収弾性率とは、名目GDPが1%増えた際に、税収が何%増えるかをあらわす指標で、景気によって変動します。景気回復局面=名目GDPが増えてくると、赤字だった企業が黒字化して法人税を支払うとか、失業者が職に就き所得税を払うとかいう現象が発生し、税率以上に税収が増えます。

逆に、景気後退局面=名目GDPが減少してくると、黒字だった企業が赤字化して法人税が払えなくなるとか、失業者が増え所得税を払えなくなるという現象が発生し、税率以上に税収が減るという意味です。

増税すると税収が減ることがあるのは、税率は上がっても景気が悪化することで税収弾性率が小さくなるからです。

それはともかく、デフレの状況から回復すれば名目GDPは増えますので、税収が税率以上に増えます。従って、経済成長こそが、現在の日本の財政の唯一の問題点(対GDP比で政府の負債が増えている)を解決することになります。

国の借金が増えていても、GDPも増えていて比率が変わらなければ何の問題もありません。古い借金から順番に償還して行けば良いだけの話で、そもそも政府の負債をゼロにする必用などありませんし、そんなことしても有害なだけです。これを理解していない人も多いですが・・・

まあ、その前に、プライマリーバランスとか間違った目標をやめて、正しい目標に切り替えるのが先ですが・・・

財政については、まとめサイトがありますので、こちらを参照して下さい。がっつり考えてみたい人用と、忙しい人用とが用意されています。

誰がまとめたのかわかりませんので、信じる信じないは別として、考え始めるとっかかりにしてはどうかと思います。




②格差拡大の問題

格差拡大の問題解決のために最初に思いつくのは、所得再分配政策かもしれません。実際それをやればよいと思いますが、その場合も、どこかには増税しなければならないことになります。儲かっているところにですが。

それはそれでやれるならやれば良いですが、経済が停滞している時にはどの部門にたいしても増税はしにくいものですし、必死で抵抗するでしょう。再分配のための増税をしやすくすると言う意味でも経済成長はしたほうが良いです。経済成長すれば税収が確実に増えますから、その増えた税収を再分配的に、つまり格差の縮小のために使うこともできるでしょうし。

なので、経済成長は格差の縮小のための政策をやりやすくしてくれます。

あと、そもそも、格差拡大の要因は、ピケティが「21世紀の資本」で明らかにしたように、

 r > g 

です。



r(リターン)とは、資本収益率、要するに株や不動産など、資産運用から得られる利益率のことです。そして
g(グロース)とは、経済成長率、所得の伸び率のことです。

過去200年間の経済を分析した結果、経済成長率(g)よりも資本収益率(r)のほうが常に大きかったことが格差拡大の要因であることを明らかにしたのです。資本主義では政府が何もしなければ格差はどんどん拡大して行くのです。

ただし、戦後の30年間ほどだけはその例外があり、1980年代くらいまでは日・米・欧の一部の資本主義国では格差の小さな社会が実現されていました。その理由は、戦争で金融資本が縮小したこと、金融の規制が厳しくて今ほど金融業がもうからなかったこと(rが小さかった)、高度成長していた(gが大きかった)、これらが重なったからです。

戦後のブレトンウッズ体制と言うのは金融を厳しく規制するところからスタートしています。あと、特にアメリカなどでも金融方面の規制が多く、当時の金融業と言うのはr(リターン)が今よりかなり小さくてたいして儲からない業種だったそうです。その一方で、それなりに高い経済成長率を維持していましたので、当時のアメリカはスウェーデンより格差が小さかったそうです。日本も同じ。

それが、90年代以降、金融部門の度重なる極端な規制緩和により、アメリカの金融業は異様に・不当に儲かるような業種にどんどん変化していって、その行き着く先が現在の1%、いや、0.1%への富の集中です。

なので、金融部門の規制も必用ですが、経済成長しなくて良いと言うことは、結果として格差拡大を放置してよいという意味に近くなるわけです。