カーク船長の娯楽日記

周回軌道上から地球を眺めつつしたためた恒星日誌
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日本における経済成長の必用性

いろんな人と話をすると、そもそもなんで経済成長などが必用なのか(たぶん必用ないだろうと言う意味で言われているのかと思いますが)、ほとんどの人がそう思われているようで、まあそれが普通かもしれませんが、私の認識とは違います。

日本が経済的に豊かだと思われている人が多いので、なおさらそう思うのかと思いますが、そもそもそこが誤解です(見方は色々ありますが)。日本も貧困層が増えていて格差が拡大傾向ですが、アメリカのように上と下が広がっているのではなく、日本の場合は下にむかって広がっています。富裕層はさほど増えずに、貧困層だけ増えているのです。再分配だけの問題ではないと言うことです。

あとマクロな話では例えば、日本の名目GDP総額はかつては世界第2位、近年では中国に抜かれて3位です。それどころか、世界全体のGDPにおける日本のGDPのシェアは、かつて18%もあったものが、今では6%以下ですから、日本の停滞ぶりは明らかです。

さらに、日本の「国民1人当たりのGDP」は90年代中頃には世界3位でしたが、今や22位で、だいたいイタリア並みです(ドル換算で、こちら参照)。以下は内閣府のデータによる図で、比較する国や集計方法が微妙に違いますが参考までに。

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もちろん、産業・社会構造や人口・格差レベルなどが違いますし、為替レートの反映や統計のやりかたもありますから、順位それ自体にはあまり意味がありません(ルクセンブルクが1位ですし)。そうではなくて、それらがこの20年で大きく後退・低下していることに意味があります。

それだけ日本が衰退して貧しくなっているのです。ちなみに、国民意識の将来展望など、日本はロシア以下です。ロシア人のほうが自国の未来に明るい展望を抱いています。まあ勘違いかもしれませんが(笑)、でも出生率も人口も増えていますし、日本人が思っているよりもロシア人の生活は豊かなようです。

それはともかく、先進国はどこも低成長で、途上国の成長も鈍化しています。そこで、どうすれば持続的な経済成長が可能なのかと言う議論と、もはや持続的な成長は困難なので他の目標を見つけるべきと言う議論と二つあります。

先進国ではGDP(経済的な豊かさ)以外の別の「豊かさ」「幸福度」などの指標を見つけるべきと言う議論もあります。

しかし、日本の場合は実はこれらの議論以前の話なのです。他の国とはかなり状況が違います。デフレのせいで普通の名目成長すらできていないのです。とりあえず名目成長だけでも普通の国並にすれば良くて、そのためにはデフレ脱却するだけで良いのです。

並の国程度のこともできていない日本が「経済成長しても意味ない」と言うのは、成績の悪い子供が「勉強なんかしても意味無い」と言うのと同じレベルの話です。

他の並の国のレベルになってから、その先の話として言うなら別ですが、今はそれ以前の状態です。要するに、日本のマクロ経済政策を担うインテリ達(経済学者・財務官僚・経産官僚・国会議員・経済評論家・マスコミなど)の経済知識・思想レベルが世界最低水準だと言うことです。

さて、一般に、真面目に考えて、経済成長はもう目指すべき目標ではないと言っている人は、実質成長のことを言っているのかと思います。そうならば、話を聞く価値はありますが、それでも低成長ならば可能ですし、しないよりはしたほうが良いです。以下、順番に考えてまとめて行きます。

先に話の論点と結論だけを並べておきますと・・・

(1)日本が経済成長(名目成長)できない理由は他の国と違う
(2)経済成長が必用な理由
 ① 日本はもはや経済的に豊かな国ではない
 ② 物質面の豊かさ以外の豊かさのためにも経済成長は必用
 ③ 名目成長の必用性〜名目成長により、日本社会の多くの問題が好転する
 ④ 実質成長の必用性〜低成長ならば可能だし、しないよりしたほうが良い

この土日はたぶん釣りに行けないと思うので、時間があれば、これらについて順番に書いて行きたいと思います。

なお、経済成長したからと言ってそれだけで確実に国民が安心して豊かに暮らせるわけではありません。あくまで必用条件にすぎないのです。しかし、十分条件でないからと言って不要だと決めつけるのは安心と豊かさをはじめから放棄して、日本国民を貧困化させて日本を発展途上国に逆戻りさせることにつながります。色んなデータや経済指標を見れば、もう、そうなりつつあるのです。

ただし、これは今のところ言われている、AIによるシンギュラリティ(以下参照)のようなものが到来しないことが前提です。AIが多くの人々の職を奪うような世の中になれば、今現在の経済・社会のしくみが根本から成り立たなくなってしまい、未知の社会が到来してしまいます。そうなると、もう何をして良いのかまったくわかりません。あくまで、そういうものが来ないで現状の経済・社会制度が続く前提での話です。

Singularityの意味(Eゲイト英和辞典)
1 風変り,奇妙,異常
2 風変わりな点,特異性
3 単一(性),単独
4 ≪天文用語≫特異点(ブラックホールを形成すると考えられている点)

「シンギュラリティ」 知恵蔵の解説より一部省略および改変

シンギュラリティ(またはTechnological Singularity)とは、人工知能(AI)が人類の知能を超える転換点(技術的特異点)。または、それがもたらす世界の変化のことをいう。

米国の未来学者レイ・カーツワイルが、2005年に出した“The Singularity Is Near"(邦題『ポスト・ヒューマン誕生』)でその概念を提唱し、徐々に知られるようになった。カーツワイルは本書で、2045年にシンギュラリティが到来し、AIは人類に豊かな未来をもたらしてくれる、という楽観的な見方を提示している。



(中略)

シンギュラリティには懸念の声も多い。理論物理学者スティーヴン・ホーキングは、AIは人類に悲劇をもたらす可能性があると警告し、ビル・ゲイツも批判的な見解を出している。こうした脅威論を一蹴するカーツワイルも、安全運用のためのガイドライン作成の必要性は否定しない。

日本では15年末、野村総合研究所が「10~20年後、国内の労働人口の約49%がAIやロボットで代替可能になる」(英・工学博士M.オズボーン他との共同研究)という報告書を発表し、雇用の消失という面から注目された。報告書は、601種の職業について、創造性や協調性が求められる非定型の業務は人間が担うが、一般事務・配送・清掃・警備・運転・製造業務などの約100種は代替可能性がきわめて高いと指摘している。

(後略)


ここに書かれているように、シンギュラリティの結果には楽観論と悲観論とがありますが、私は性格上、悲観論のほうです(笑)。

カーツワイルがシンギュラリティを言い出した当時(2005年頃)は、まだSFやオカルトのような扱いだったらしいですが、ここ数年になって徐々に現実味を帯びてきたことから、扱いが変わってきたようです(笑)。

悲観論のほうへ向かった場合の最悪の結末としては、ターミネーターまたはマトリックスの世界ですが、そうなる前にも大半の人間の職業が不要になれば、多くの国民が仕事して納税して行政が動くと言う社会が成り立たなくなる可能性があります。そうなってしまっては、何をどうして良いのやら!?

これはこれで興味深い話なので、またいくつか本を読んでから考えてみたいですが、AIその他の技術進歩により、低賃金労働、単純労働においてほとんど人手が不要になると予想されるわけですから、今が人手不足だからと言ってむやみに移民などを入れてしまうと逆に将来は大変なことになるでしょう。私が、日本は少子化でむしろラッキーと言うのはこのことを前提にしています。

それ以外に、かなりSFチックになりますが、現在のペースで生殖技術や再生医療技術が進歩し続けると、人間ももはや今の人間とは違う存在になってしまう可能性もあるのではないかと思います。

・・・と、話がそれました。

では、時間があれば「日本に経済成長が必用な理由」などについて週末にでも書く予定です。

ちなみに、私は自分の考えが絶対とは思っていませんので(なんせ過去にいろいろ間違った考えを信じてきましたので)、いろいろと知ったり考えたりする過程で考えが変わって行く可能性があります。あくまで現時点での暫定的な結論です。なので、数年後に違うことを言っていたらすみません(笑)。いちおう言い訳を先にしておきます。