カーク船長の娯楽日記

周回軌道上から地球を眺めつつしたためた恒星日誌
ホームページへ     
TOP ≫ ARCHIVE ≫ 2017年02月
ARCHIVE ≫ 2017年02月
      
≪ 前月 |  2017年02月  | 翌月 ≫

トランプとバノンの目指すもの

昨日の続きです。トランプ大統領が誕生した背景には、
(1)ヒラリーがダメすぎ
(2)アメリカ社会の分断の結果
 ① 所得上位0.1%階層による経済および政治権力の支配
 ② 白人 VS その他人種

の要素があったことが大きいのではないかと言う話でした。他にも細かいのがいろいろあるとは思いますが。

とくに、アメリカ社会の分断が大きいでしょうね。社会が分断されれば、分断の結果が選挙に反映されるのは当たり前です。でも1度分断した社会は、そう簡単にもとにはもどりません。「分断をあおるな!」ときれいごとを言ってみても虚しく響くだけです。

では、トランプ大統領はいったい何を目指しているのか、それは実現可能なのかについてですが・・・

大統領の目指す政策は、彼の側近であり影響力が強いとされるバノン氏の考え方をさぐるとわかりやすいのではないかと思います。彼らの嫌いなものには3つあり、そのことから方向性がわかると思います。

(1)有色人種が嫌い
→アメリカの白人支配の継続もしくは白人の地位の維持(向上)

(2)主流派経済学(自由貿易)が嫌い
→保護主義と言うより重商主義を目指している

(3)同盟関係が嫌い
→NATOや日米同盟などへのアメリカの負担は減らしたい


(1)については説明不要かと思います。彼らが不法移民への取り締まりを強化したり、中東の国からの入国を禁止しようとしたのは、これ以上アメリカで白人以外の人種がふえるのを少しでも抑制したいと言う意図によるものです。

アメリカをふたたび昔のようなアメリカに戻したい、人種構成にしろ価値観にしろ、国際関係にしろ、その頃の体制にもどしたいと言うのが彼らの目的です。

トランプが選挙中に繰り返したフレーズ「Make America Great Again」が、まさにそのことを示しています。まあ、この言葉を最初に使ったのはレーガンらしいですが。トランプは就任演説でもふたたび「We Will Make America Great Again」と言ってます。

だから、昔のアメリカにもどしたい、なぜなら昔のアメリカのほうが強かったから・・・ですが!?

でも、白人中心にしたからと言って、再びアメリカの国力が増すのかと言うと、普通の人が考えればそれは関係無いでしょうが、なんせこれは感情論と言うか差別的な心情ですからどうにもなりませんね。いずれにしろ、彼らは昔のアメリカ、1930年代くらい?に戻したいみたいです。

これについては、まあ実現は無理でしょうから、日本としてはあまり気にしなくて良いと思います。米国内で勝手にもめて下さい。


(2)について、トランプは経済学の主流派が主張する、自由貿易によって最終的にどこの国もウインウインになれるから保護主義よりも全体にとってメリットになると言う説(リカード「比較優位論」)について、私はこの説を信じてませんが、トランプやバノンは信じる信じないではなく、嫌いなのです。

彼らの望んでいるのは、他国とのウィンウィンの関係ではなく、とにかくアメリカが勝つことです。そのためには、アメリカに都合の良い部分は自由貿易でやり、都合悪い部分は保護主義でブロックするつもりです。

彼らの目指しているのは、「重商主義」です。「重商主義」とは、現代では「輸出で経済成長」と言うのと似たような意味になります。まあ、貿易黒字で国の富を増やそうと言う感じでしょうか。

安倍首相も「輸出で経済成長」と言ってますので、一見して良さそうですが、やり方に無理があるのと、そもそも「自由貿易」によって経済成長できるとは限りません。輸出だけでなく、輸入も増えますので。

経済成長(何度も言ってる通りGDPがふえること)に関係あるのは、総輸出額ではなく、「純輸出(輸出から輸入を差し引いたぶん)」です。なので、輸出が増えても輸入が増えれば経済成長しません。

なので、本気で輸出で経済成長しようと思うならば、『輸入を制限し輸出を拡大する』と言うことになりますが、これがまさに「重商主義」です。輸出に関しては相手国に自由を要求し、輸入に関してはブロックするのです。貿易で経済成長を目指すなら、重商主義になります。安倍ちゃんはわかっているのかな!?わかっていて言っているならかなり賢いですが。

しかし、どこの国もがそんなことをするのは不可能で、輸出と輸入がバランスしているほうが良いと考えるのが一般的なようです。このへんは私はよくわかりません(勉強中)。

特定の国がひたすら輸出ばかり増やして輸入しないと、どこかの国がひたすら赤字をため込むことになります。そんな状態が持続可能かどうか、考えればわかると思いますが、ところが中国・ドイツ・日本はひたすら黒字を続けているのです。なぜそんなことが可能かと言うと、それらの黒字国の反対側に、常に赤字の国があるからです。それがアメリカです。

アメリカは、貿易赤字だけでなく、経常赤字国であり、それが長年にわたって続いています。その一方で、中国・ドイツ・日本が経常黒字をずっと続けているのです。

これを、グローバル・インバランスと呼びます。

こんな状態をいつまでも続けるのは困難だし異常だろうと言う認識がアメリカにはあるのでしょう。アメリカは中国・ドイツ・日本が作ったものをたくさん買うことで世界経済を支えていると言う見方もできます。まあ、ドルが基軸通貨だからこんなことができるのですが、そのせいでアメリカは成長できなくなっていると言うふうにも考えられます。

日本が経常黒字なのはデフレだからと言うこともあるので、デフレ脱却は実は両国にとってウィン・ウィンの解決方法なのですが(日本の内需が拡大すれば輸入も増える)、その方向性に向かうかどうか・・・

話がそれましたが、いずれにしろ、自由貿易やグローバル化によって、アメリカの一部の階層の人達は莫大な利益を得てきましたが、国力そのものは低下したとも言えます。そのぶん中国が台頭してきましたが、それこそ明らかにグローバル化の恩恵によるものです。

100年前にも世界はグローバル化しましたが、そのグローバル化を主導したイギリスは、自らの主導したグローバル化の結果として衰退し、そのぶん日米が台頭したのと同じことです。グローバル化は国家間の力関係を変化させます。

トランプやバノンの目的は、アメリカをふたたび偉大な国にすることですから、経済理論でどの国も豊かになるとかは関係無く、とにかくアメリカがナンバーワンになれるように、アメリカに都合の良い自由と保護とを使い分けようと言うことでしょう。

「お前のモノは俺のモノ。俺のモノは俺のモノ」・・・まさに、ジャイアンです。


(3)同盟関係が嫌い・・・ですが、これはイマイチよくわかりません。最近になって軌道修正していますが、当初はトランプも「NATOなど時代遅れ」などと言って批判していました。

しかし、アメリカの経済力は昔と比べてかなり低下していますので、アメリカ一国がヨーロッパ・中東・東アジアの3つの地域で軍事的覇権を維持するのは不可能に決まっています。それをやろうと言うネオコンのほうが頭がおかしいのです。

これらの3つの地域のうち、アメリカにとって利益の少ないところからは徐々に撤退して行く方向に向かうのは、トランプでなくてもあたりまえと思います。違うとしたら、撤退のスピードくらいでしょう。

とりあえず、アメリカにとっての最大の貿易赤字国は中国ですから、中国を封じ込めるつもりはありそうなので、急激に東アジアから撤退することはないかもしれませんが、いずれ徐々に撤退して行くでしょう。


それでは、最後に、これら3つの政策が実現可能かどうかと言う話になります。結論から言うと、たぶん不可能だろうとのことです。

理由は、とにかくアメリカのマスコミのほぼすべてが反トランプなので、今後いろんな情報がでてきて政権運営がままならなくなると予想されますし、出てくる情報によっては議会で弾劾される可能性もあります。

そもそも彼の主張は共和党の主流派の主張ともずいぶん異なっていますから、共和党としてはトランプをやめさせて、副大統領のペンスを大統領にしたほうが良いと考える可能性がかなり高いでしょう。

そうならないにしても、暗殺されるだろうと言っている人もいます。

いずれにしろ、トンランプ政権は長くもったとしても2−3年くらいなのではないかと言うのがおおかたの予想のようです。

最後に、トランプはバカではないと言うこともつけくわえておいたほうが良いでしょう。

日本のマスコミを見ていると、とにかくトランプが嫌いだから、彼をバカにして見下して憂さ晴らしみたいなことにばかり熱心ですが、そんなことをして何の意味があるのか!?同レベルです。

彼がバカではないのは、生い立ちを見ればある程度わかります。

彼は、父親が不動産業でものすごい金持ちの家で生まれ育ちましたが、少年時代はグレてしまい、つねにナイフを持ち歩いてニューヨークのブロンクスとか下町でケンカをふっかけてばかりの悪ガキだったらしいです。

しかし、さすがに親がこのままではヤバイと思って、無理矢理にミリタリー・スクール(全寮制で規律がものすごく厳しい)に入れたところ、めきめきと頭角を現してリーダーになり、卒業生代表になるほどだったそうです。

その後、親の事業(不動産業)の面白さを知って事業を継ぐ気になり、大学はペンシルベニア大学ウォートン校の不動産の専門学科を卒業したらしいです。この大学はアイビーリーグの超名門校で、世界的に高評価を受けているビジネススクールですから、バカでは卒業できないでしょう。

彼の性格・人格が滅茶苦茶で下劣なのは間違い無いとしても、バカではありません。

民主的な手続きで選ばれた大統領をバカにして喜ぶ、うっぷんを晴らすと言うのはレベルが低すぎると思いますし、論理的に批判するのではなく感情的に罵倒したり見下したりするのは人間の質が低い奴のすることですので、もうちょっとまともで冷静な分析にもとづいた批判や対策を日本のマスコミにはお願いしたいですが、まあある種の同類(自分の好き嫌いでしか物事を判断できない)ですから無理でしょう。

特に、日本ではワイドショーで政治を取り上げる場合にその内容がひどいですね。最近で言えば、ワイドショーがもてはやす「改革」なども誰のためにもならないことを勘違いの正義感と事実誤認と非科学的感情論で盛り上がって偽のリーダーを担いでいるだけです。国家財政に関しては財務省とその御用学者の説を垂れ流して偽の財政危機を煽って国全体を弱体化させ続けています。

日本のマスコミはアメリカ大統領のことをどうのこうの批判する前に、まず「自己批判」したほうが良いのではないでしょうか。

トランプ大統領誕生の理由

トランプ大統領について、まず、アメリカのマスコミで彼について正確に報道されていないので、それをただ輸入しているだけの日本のマスコミ報道を見ても肝心な部分がわからないので、どうしたものかと思っていました。

この前の大統領選挙で、アメリカのマスコミ関係者の96%はヒラリーに投票し、トランプに投票したのはたった1%との調査結果があるようで、このことからわかる通り、アメリカのマスコミ報道はかなり偏ったもの、少なくとも国民は半々に割れているので、一般国民とマスコミ関係者で意識の分断があるのは間違い無いようです。

最近、アメリカ在住の評論家の人の話を聞きまして、おかげでかなりトランプのことがわかりましたので、そのことをまとめておきたいと思います。

(1)なぜトランプみたいな異常人物が大統領になってしまったのか

(理由1)ヒラリーがクズすぎるから

アメリカで、社会主義者を自称するサンダースが民主党の予備選でいいセンまで行った理由とも共通しています。一つは格差の問題ですが、もうひとつはやはり、ヒラリーがクズ過ぎるからということも一因のようです。彼女の健康問題とかは小さいレベルの話です。

ヒラリーがどのようにクズなのか、3点あります。

(1)典型的な汚職政治家である
(2)ウォール街とつるんでいる
(3)戦争したがる。

この3つです。一番ひどいのが(1)で、メール問題の本質もここにあるようです。

彼女が国務長官時代に国務省のメールアカウントを使用せずに、自宅にサーバーを置いて私的なアカウントで業務上のやりとりをしていた最大の理由は、国務省に通信記録を残したくないと言う意図によるものです。うっかりではありません。計画的です。そして、まわりの取り巻きたちはみんな知っていたそうです。

目的は、国務大臣の立場を利用して世界中から汚い金を得ているのを隠すためです。

アメリカの国務大臣ともなれば、世界中から陳情のために面会の依頼などひっきりなしです。彼女は、そういう要求が来た場合に、会ってやるかわりに、「クリントン基金」にいくらいくらの金を振り込め、と言う調子で、世界中からダークマネーをかき集めていたとのことです。そして本来は慈善事業のためのものである「クリントン基金」のお金の大半が使途不明だそうです。

クリントン財団に関しては、金銭スキャンダルが非常に多いようです。このことが、メール問題で露出してアメリカ国民はみんなヒラリーなど汚職政治家の典型で汚いやつとだとの認識です。

トランプも会社経営者として大統領になると利益相反の問題が指摘されていましたが、ヒラリーはその上を行っていると言っても良いのではないでしょうか!?

あとは、アメリカの政治資金のしくみで日本と違うのは、アメリカでは政治献金が無制限である上に、財団などを介せば匿名で迂回献金などやり放題なので、その結果として、アメリカの所得トップ0.1%の人達が経済権力だけでなく、政治権力までもを得てしまっているわけです。

ヒラリーはそこいらとズブズブの関係ですが、トランプは大統領選の政治資金のほとんどを自分の財産から出して選挙運動していたので、そういう意味ではヒラリーより遙かに信頼されていた、すくなくともウォール街とズブズブではないと思われていたようです。

それから最後に、理由はわかりませんが、彼女はとにかくイラクやシリアに対してイケイケどんどんです。そしてロシアともイケイケどんどんです。世界中に手をだしまくる、まるでネオコンのようです。理由はわかりません。イラクやシリアにイケイケなのは、イスラエルとつながっている(これも金のため?)のかもしれませんが、それはわかりません。ロシアに強行なのは、メールを曝露されたうらみでしょうが。

少なくとも彼女が大統領になっていたら、イラクやシリアはまた滅茶苦茶になってその度合いを増していたでしょうし、ロシアとの関係も今以上に悪化していただろうとのことです(彼女の個人的理由により)。

こんな人物なのですから、むしろ共和党がトランプでなかったら、もっと大差で選挙に負けていたのではないでしょうか!?

リベラル政党であるはずの民主党の大統領候補が、国民の格差ほったらかしにしてきれいごとと自己利益の追求ばかりに熱心なので、一般大衆が愛想を尽かして極右に走ると言うのは、ヨーロッパでも同じ傾向です。リベラル政治家やリベラルメディアの質の低下によるためでしょうが、これはは日本でも同じなので、世界的な傾向なのかもしれません。


(1)なぜトランプみたいな異常人物が大統領になってしまったのか

(理由2)アメリカにおける今後の人口動態の変化

これは実はマスコミでは言論の自主規制が行われていて、アメリカでは公に議論することがタブーになっている問題のようです。具体的には、「アメリカにおける人種構成の変化」の話です。

ごくおおまかな数字ですが、アメリカと言う国は、1965年までは移民の8割がヨーロッパの白人で、それ以外の人種は2割以内という感じで制限していました。それは、アメリカの人口構成が、ほぼ白人8割強、その他1割強だからです。

ところが、1965年に移民法が改正されて、人種や国籍での制限をやめてから、白人の比率が徐々に下がりはじめ、最近では白人6割強、黒人1割強、ヒスパニック2割弱になっています。

そして、このペースでの移民の流入と、白人の少子化を計算に入れると、あと数年で白人の比率が5割と切るだろうとの予測があるようです。

アメリカにはマイノリティーを保護するしくみがいろいろありますが(アファーマティブ・アクションなど)、こういうしくみは、弱者が少数だから成り立つのであって、それなりの数になってくると維持が困難になってきます。

世論調査によると、白人の5割ほどの人たちが、「自分たち白人こそ差別されている」と感じているようです。実際、白人の中年では失業や自殺、薬物中毒などが急増して有意に死亡率が増加していると言うデータもあります。

マスコミは、トランプが分断を煽っていると報道していますが、実際はむしろ逆です。アメリカのマスコミが分断の事実を認めずに封じ込めよう、見ないようにしよう、議論しないようにしようとしているところに、多くの白人が不満を持っていると言うのが現実です。

ただし、この問題は解決不可能だと私は思います。これから、白人とそれ以外の比率が半々になれば、何をどう頑張っても分断は進むに決まっています。

リベラル方面の方は、多様性が大事などときれい事を言いますが、多様で異なる文化・宗教・政治信条を持つ人たちが一緒にまじれば、ひたすら衝突が繰り返されるのは、わずかな想像力がありさえすれば簡単にわかることです。その解決策はありません。

実は、民主主義も成り立たなくなります。人種や宗教で対立してひたすら争いになるからです。選挙の結果を認められなくなれば、最悪の場合は殺し合いになる可能性すらあるでしょう。

日本を考えればわかると思いますが、少なくとも人種・民族・宗教などが選挙の争点になったり、議員を選ぶ基準になったりは今のところあまりしていません(少し出てきていますが)。民主主義が穏当に成り立つためには、有権者みんなが、同じ国の国民であり仲間であると言う感覚が不可欠なのです。

グローバル化がすすめばすすむほど、人の移動がはげしくなり、移民の流入が生じる結果として、逆に民族主義や差別、争いが多くなるのは当たり前ですし、そうなると、まともな民主政治も成り立ちません。

話をもどしますと、アメリカにおける白人の地位低下に危機感・不安感・恐怖心を抱いている白人層の支持がトランプに集まったため、と言うのがトランプ大統領誕生のもうひとつの理由です。

すべて書き切れませんが、長くなったので一旦おわります。

次回は、トランプがいったい何を目指しているのかについて、アメリカ在住の評論家から聞いた話の続きです。