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MMTのすさまじい破壊力!

以前にMMT(現代貨幣理論)について少し書きましたが、その後もMMTに関する情報を集めています。もうすぐ、MMTの提唱者の中心人物であるランダル・レイ氏の専門書の邦訳が販売されるらしいですが、予約が殺到しているようです。



そして、このところ、MMTに関するまともな記事も少しずつ増えてきました。以下の文藝春秋の記事がその一つです。ここでのMMTの内容の紹介が

「自国通貨を発行する政府は、高インフレの懸念がない限り、財政赤字を心配する必要はない」
 こう説くMMT(Modern Monetary Theory「現代貨幣理論」)が話題となっている。

・・・となっています。まともです。当初は、「政府は借金をいくらふくらましてもかまわないとするMMT・・・」などと紹介されていましたから、ずいぶん変わってきました。

貨幣とは何か!?

連休中はあまりでかけず、今話題のMMTについて勉強していました。
と言っても、ネットの動画を2本見ただけですが(笑)。

MMT(Modern Monetary Theory)とは「現代金融理論」または「現代貨幣理論」と訳されていますが、内容からして後者の「現代貨幣理論」のほうが適切な訳だと思います。主流派経済学や経済に関する通俗観念から見てかなり異端と言うことで、トンデモ理論視されているところもありますが、アメリカで話題になっています。1990年代頃に体系化されはじめ、有名なハイマン・ミンスキーの弟子であるミズーリ大学教授のL.ランダル・レイ(L. Randall Wray)氏が中心となって体系化した理論で、彼らはポスト・ケインジアン派と呼ばれる非主流派経済学派になります。その人がまとめたのがこちらの本↓。



私がMMTと言う言葉を聞くようになった頃(今年の1月頃)には日本ではほとんど話題になっておらず、3月頃にネットで検索してもまともなのは経済学101のサイトくらいしか出てきませんでしたが、最近はいろいろとヒットします(批判的な内容が多いですが)。

MMTがアメリカで急速に注目されだした理由は、前回の大統領予備選で健闘したサンダースや、史上最年少議員として活躍しているオカシオコルテス(Alexandria Ocasio-Cortez:AOC)などの民主党議員が政策を実行するために必用な「財政政策の拡大」のための理論的な背景としてMMTを支持・採用したからです。

サンダース(左)とAOC(右)
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彼らがブレーンに採用した学者がニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授で、彼女がMMT批判に敢然と反論しており、その内容が最近になってさまざまな論争を呼んでいますし、その中で日本にも言及しているので、日本でも取り上げられるようになりました。

ケルトン教授
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「現代金融理論」ケルトン教授、左派サンダース氏の顧問に=米

【ニューヨーク時事】
政府が借金をいくら膨らませても問題はないとする「現代金融理論(MMT)」を提唱するステファニー・ケルトン米ニューヨーク州立大教授は15日、インタビューに応じ、2020年の大統領選に野党民主党からの出馬を表明したバーニー・サンダース上院議員の政策顧問に就くと明らかにした。

左派色の強い国民皆保険制度など、公約に掲げる財政拡大策の立案に携わる。 ケルトン教授は16年の大統領選でもサンダース氏の顧問を務めた。

インタビューでは「財政規律よりも財政拡大を優先し、失業者をなくすべきだ」と主張。「MMTは日本が直面するデフレの解毒剤になる」とも語り、今年10月の消費税増税は「経済にデフレ圧力をかけることになり、間違いだ」と明言した。 

日銀の金融政策については「ゼロ金利を放置しておけばいい」と提言した。また、「日本政府が自主的にデフォルト(債務不履行)を宣言することはないと賭けてもいい」と語るとともに、「債務が日本(経済)に負のコストを強いている証拠はない」と指摘。日本は財政拡大による経済成長を目指すべきだとした。 

ケルトン教授は「財政赤字を増やしても低インフレ環境では金利上昇やデフォルトは起きない」との学説を唱えていることで有名。借金奨励とも言える主張により、主流派の経済学者から「異端者」扱いされているが、貧富の差の縮小に向け大規模な財政政策が必要と訴える民主党の一部で支持が広がりつつある。

時事ドットコムニュース



この記事も、あまりMMTの重要部分を正確に紹介しておらず、記事の一行目でいきなりMMTが「政府が借金をいくら膨らませても問題はないと主張している」とか、最後のほうで「借金奨励とも言える主張」などとも書いていますが、誤解を受けやすい表現なので注意が必要です。

で、面白い点ですが、アメリカでは左派で社会主義者と自称するような政治家のみがMMTを支持しているのですが、日本では左派と右派のそれぞれごく一部でMMTが話題になっています。まあ、右左をあわせてもごく少数派で、社会的影響力は小さいですが。

MMTと似たような主張、と言うか「反緊縮=財政支出の拡大」を主張をしている日本の左派は、学者としては薔薇マーク運動(←このサイト内にもMMTの解説あり)の呼びかけ人、立命館大学の松尾匡氏、政治家としては、左派なのかどうかわかりませんが、山本太郎!(笑)くらいで少ないです。あとは右も左も緊縮派ばかりです。

保守系でも一応、数年前からMMT的な主張を以前からしている人たちもいることはいますが、同じくごく一部です。

これが、何かと話題の多い自民党の「魔の三回生議員」の一部が中心となって作った自民党の若手グループ「日本の未来を考える勉強会」(安藤裕議員主催)で、ブレインとなっているのは京都大学の藤井聡氏、評論家の中野剛志氏や三橋貴明氏など、いずれも保守系の論客としてそこそこ有名な人で、特に中野剛志氏は3年前からMMTを解説していましたが、ごく少数派です。

以上、左派の薔薇マーク運動の人たちとあわせても、日本では「財政出動派」は超少数派です。

リフレ派(金融緩和でデフレ脱却を目指す主張)もマイナーでしたが、財政出動派(財政赤字を拡大してデフレ脱却を目指す)はもっとマイナーと言うか、みんなが財政危機と思っている中で財政赤字の拡大を言っているので頭のおかしい人扱いでしたので、ちょっとだけでも注目されだしたのは私としては良い傾向だと思っています。と言うのも、私は、色々と吟味した結果、この「財政出動派」の人達の経済に関する説明が一番正しいのではないかと思っているからです。

・・・話をもどしまして、MMTは主流派の経済学者から異端視されていますが、トンデモ理論ではありません。内容は二部構成になっており、現実のマクロ経済を説明する理論の部分と、政策提言の部分です。私としては、理論(貨幣や財政についての捉え方)のほうは正しいと思いますが、政策提言(JGP:ジョブ・ギャランティ・プログラム)のほうは、それが良いかどうかはわかりません。

なので、政策提言の部分はとりあえず無視して、私なりに意訳すれば「MMTによると、財政は赤字のほうが健全」と言うことになります。

では、どうしてこういう結論になるかと言うと、ここが現代貨幣理論たるゆえんですが、今現在我々が使っている貨幣(money)と言うか通貨(=流通貨幣の略、英語ではcurrency)、円やドルやポンドなどの本質は一体何なのか!?と言うところから考えてみるわけです。

wikipediaには「貨幣(money)」について3つの定義が書かれています。そのうち2つは以下の通り。

貨幣とは〜
・商品交換の際の媒介物で、価値尺度、流通手段、価値貯蔵の3機能を持つもののこと[1]。

・商品の価値尺度、交換手段として社会に流通しているもので、
 またそれ自体が価値あるもの、富として蓄蔵を図られるもの[2]。


ここまでは良いのですが、wikipediaの三つ目の貨幣の定義は以下の通りで、これが現代貨幣理論による貨幣の捉え方と同じものです。

・貨幣とは負債の一形式であり、経済において交換手段として受け入れられた特殊な負債のこと[3]。特に現代経済においては、すべての経済主体が信頼する借用書のこと。

→常識にあわないのでちょっとすぐに理解するのは難しいですが、貨幣の見方(と言うか種類)には2つあると言うことです。

1つは、金貨・銀貨等、および現代の仮想通貨など、これらはいずれも「商品貨幣」になります。

もうひとつ、現代の各国の通貨(円やドルやポンド等)は商品(サービス)ではなく、上の説明にあるように、負債の一形式であると捉えるので、「信用貨幣」になります。これが現代貨幣理論による貨幣の捉え方です。

貨幣とは負債の一形式、日本円ならば、政府(日銀)が発行している借用証書のようなものだと言うことになります。この貨幣の捉え方は、実はMMTオリジナルなものではなく、wikipediaの引用元[3]を見るとわかる通り、イングランド銀行のサイトになっています。なので、銀行に勤めている方からしたら実は常識なのかもしれません。

実際、多くの人はお金を「商品貨幣論」で捉えていると思いますが、それは間違いと言うことになります。あとの説明は、私の見た動画のレジュメのコピペだけしておきます。

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で、ここから、具体的に通貨と言っても何のことかと言うと、現金通貨と預金通貨とがあると言うことです。で、実際には日本では現金通貨は2割程度で、あとの8割は預金通貨です。ちなみに、欧米諸国では現金通貨は1割で、預金通貨が9割だそうです。

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以上、信用貨幣の理解から導き出された結論の1つとして、政府の財政は赤字であるのが正常である、と言うことになります。


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そして、ここからが面白いところなのですが、これも一般に「銀行」について誤解している点です。私も知りませんでした。

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これはびっくりですが、どうもそのようです。銀行がサラ金などの又貸しとは根本的に違うところです。銀行の貸し出しによって通貨(預金通貨)が作られることを信用創造と呼びます。

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ところが、なかなか現実にはこういう理解がなく、よくあるご意見として以下のようなものが典型であります。

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このように考えてしまうのは、商品貨幣論でものを考えているせいだからでしょう。その結果、どうなるかと言うと以下のように、財政支出を増やすことができずに経済成長できなくなってしまうわけです。一方で、金融緩和はしていますが、効果は出ていません。

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↓これがまた、衝撃の事実。経済成長率ともっとも相関のある因子は、政府の財政支出の伸び率です。日本はいずれも主要33ヶ国中で最低。

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以上まとめると・・・
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↓(笑)
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と言うか、そもそも元の動画を見て頂くのが早いです(ただし約1時間ですが)。上記の自民党議員の勉強会の動画です。


「日本の未来を考える勉強会」ー貨幣と経済成長ー 平成30年3月7日 講師:評論家 中野剛志氏

1年以上前に公開されている動画です。実は私は去年の春くらいにこの動画を見て内容を知っていたのですが、ここでの話のほとんどがMMTにもとづいたものだとは、この動画を見直すまで気づきませんでした。

この動画ではMMTとは言わずに「現代貨幣理論」と日本語で言っていたので、MMTが話題になった最近でも、この動画の話のベースがMMTだと気づかなかったわけです。それが今回、最近やっとつながりました。

そして、今年になってこの続きの勉強会も行われて、その動画もアップされています。

ちなみにこの勉強会の様子については、朝日新聞の以下の記事でも取り上げられています。まあ、あまり良い感じでは取り上げられていませんが、マスコミは財務省にはさからえないみたいですから、こんなものでしょう。

「MMT」に気をつけろ! 財務省が異端理論に警戒警報
(朝日新聞2019年5月7日)

この時の動画はこちらです。


「日本の未来を考える勉強会」ーよくわかるMMT(現代貨幣理論)解説ー平成31年4月22日 講師:評論家 中野 剛志氏

これはMMTの解説と、MMT批判に対する反論などからなる内容で、途中ちょっとわかりにくい部分もありますが、面白い内容でした。ただ、残念なのは、この勉強会に集まった政治家がたった10人ほどしかいなかったと言うことです。まあ、何も変わらないでしょう、たぶん。彼らとは真逆の小泉進次郎とかがウケているようでは絶望的です。

最後に、今、世界中で一般の普通の国民を苦しめている政策は、グローバリズム、新自由主義、緊縮財政です。そして、これらに対しては左右共闘と言うのが世界の潮流になりつつあります。フランスの黄色いベスト運動などが良い例です。

ところが日本ではいまだに左右のイデオロギーの対立があり、グローバリズム、新自由主義、緊縮財政の3つの間違った政策には左右ともに反対の声が小さいです。大阪で新自由主義的な政策が問われる選挙が最近あり、左右共闘が少し見られましたが負けてしまいましたのをわかる通り、日本の多くの国民は「閉塞感」の根本原因にまだ気づいていないように思います。

グローバリズム、新自由主義、緊縮財政が多くの国民を不幸のどん底に落としつつあることに早くみんなが気づいて欲しいと思います。

支持者がむしろ足をひっぱっている

内閣支持率の世論調査が発表され、結構な高い数字になっています。衆参ダブル選挙をやったら圧勝するレベルです。

今現在こんなに支持が高いと、確実に消費増税されてしまいます。いろんな経済指標から景気は悪化の局面に入りつつあることが明らかになりつつあるのに・・・です。

前回の8%増税の時は「金融緩和」と「財政出動」もやってましたが、今現在はどちらもやめつつあります!と言うか、正確には「金融緩和は縮小方向」「財政はほぼ世界一の引き締め」です。第二の矢(財政)は明らかに逆向きに撃ってます。

日銀による金融緩和のメインは国債の買い上げですが、国債買い上げのペースを落としています。

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当初の金融緩和と財政出動による好景気とその後の消費増税で税収は増えましたが、増えたぶんを借金返済にまわしており、かなりの財政引き締め、世界一の緊縮財政です。

↓増えた税収約17兆円の使い道として、ほとんどを財務省が独占しています。まあ、政府が財政赤字を減らしていると言うことですが。

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↓からは財政赤字が確実に減っていることがわかります。

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↓そして、プライマリーバランスも着実に改善しており、このまま行けば、目標通りに2020年には財政を黒字化しそうな勢いです。

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野党やマスコミがこれをほとんど取り上げないのは、「安倍政権が良いことをやっている」と思っているからでしょう。アホですね。これだけのお金を民間から吸い上げて、シュレッダーにかけているのと同じことなのです。

こんなことをしているから経済成長しないのです。経済成長(名目GDPが増える)すれば、増税などしなくても勝手に財政は改善しますし、誰も困らないのですが。

政府がむりやり財政を黒字化しようとしているから経済成長しないと言うのは、この図から明らかでしょう。政府の支出と経済成長には高い相関がありますし、もちろん因果関係もあります(政府支出はGDPに計上されますのであたりまえ)。

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日本の財政支出の伸び率は、世界最低水準です(下にはギリシャくらいしいかいない)。これはちょっとデータが古いのでそうなってますが、もっと新しいデータだと日本が最低です。

日本には技術もあればサービスの供給能力も十分にあります。なにが足りないか!?それらを国民が手に入れるために必要な「お金」が足りないのです。そのお金はどうやって供給されるのか!?政府が財政赤字を拡大することによって「ばらまく」しかないのです(日銀は通貨を発行できても、ばらまけない)。

これを理解している人がほとんどいないどころか、いまだに「ばらまき」が悪いことと思われているのが問題です。デフレ脱却には政府が金を「ばらまく」しかありません。どこにどれだけばらまくかで議論になるならわかりますが、ばらまくことそのものの是非が問われるのが間違いです。

「国の借金」を減らすために緊縮財政をやって、民間からお金を吸い上げて、減らす必要のない「国の借金」とやらを頑張って減らそうとしてしていますが、そのために政府は民間のどこから金を吸い上げているかと言うと、主に「家計」からお金を吸い上げています。

仮に借金を減らす必要があるとしても、お金を吸い上げるのは、もうかっているグローバル企業からにすべきでしょう。しかし企業は法人税減税です。安倍首相を支持するような保守派なら、こういうことを「亡国」と言うのではないでしょうか?

↓安倍政権になってから、可処分所得(税と社会保障費を引かれた後の所得)がこんなに減っています。

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その結果がこうです。

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↑これを見れば、当初のアベノミクスは成功しかけていたこともわかります。最初の一年だけは、財政出動をしっかりやりました。それを続けていれば軌道に乗っていたのに、消費増税から一点して緊縮にかわったためです。

8%への消費増税を機に一転して国民はどんどん貧しくなっているのです。日本のGDPの6割は家計による消費です。そこを減らすようなことをして経済成長などするはずがありません。日本国民が貧しくなっている原因は、消費増税をはじめとする緊縮財政によるものです。政府が家計から金をすいあげているのですから、当たり前です。

家計の貯蓄を奪うことで、国の借金を減らしているのです。前にも書きましたが、誰かの負債は別の誰かの資産です。政府が借金を減らせば、それと同じだけの資産がどこかから消えることになります。国の借金1000兆円がなくなったら、日本から同じ額の資産が消える(または別の人が負債をかかえる)ことになるのです。

実質賃金もさがりっぱなしです。

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ただ、まあ実質賃金はデフレになったら上昇しますので、一概に実質賃金が下がることが悪いとは限りませんが、好景気になれば名目賃金も実質賃金もどちらも上昇しますので、アベノミクスが失敗しつつあるのは明らかです。

と言うか、繰り返しますが、アベノミクスは今現在ではやられていないのですから、あたりまえです。特に財政の引き締めがすごい!今や日本は世界一の緊縮財政なのです。これを公約違反と言わすに何と言うのでしょうか。

安倍首相のオフレコの発言などを調べると、プライマリーバランスを無理矢理黒字にすると日本経済は奈落の底に突き落とされてとんでもないことになることを理解しています。10%への消費増税もやらないほうが良いことも彼は理解しています。

しかし、安倍支持者たちおよび財務省忖度のマスコミその他は、アベノミクスがうまくいっていると強弁して消費増税をしようとしています。

首相本人がアベノミクスがうまくいっていると強弁するのはしょうがないにしても(ああいう性格ですし)、こんなに支持率が高くなってしまうと、消費増税を延期して支持率回復をはかると言うことができにくくなってしまいます。

アベノミクスの残りかすは、輸出依存による経済成長ですが、中国経済の減速からそれも無理になっています。国内は緊縮財政でもうダメ。明らかに景気後退局面に入ったところで、10%に消費増税してしまうと、このこと自体がリーマン級のインパクトになってしまうでしょう。

私は安倍内閣は支持していませんが、いろんな理由から安倍首相を支持する人たちに言いたいのは、消費増税を撤回するまでは支持をやめるのが安倍首相のためだと言うことです。

10%に消費増税すれば、経済がめちゃくちゃになり、責任を取って退陣が早まることになるでしょう。財務省としてはそれでミッション完了かな。安倍首相の後は財務省のいいなりになるような政治家ばかりですから。

だから、逆に、安倍内閣を支持したくない人、早くやめさせたい人ははとりあえず今は逆に支持したほうが良いかもしれません(笑)。その結果として消費増税による破壊的なインパクトで日本壊滅でしょう。

お金についての誤解

私は商売人ではありませんので、金儲けには縁が無いですが、お金については関心があります。欲しいと言う意味ではなく。まあ、もちろん、欲しいのは欲しいですが(笑)、どうにもビジネスとかには関心が持てないですし、儲けることを考えるより、世の中をなるべく正しく理解することに関心があるので・・・

ですから、私がお金について関心があると言うのは、お金とはそもそも何なのか!?と言うことです。とくに、ビジネスにはまったく役に立たない「マクロ経済学」に興味があり、そこらへんの本を数年前から結構読んでました。

今日は、お金について一般的に誤解されているなあと私が思うことについて書いてみたいと思います。

誤解その①「政府が税金を取る目的は、行政コストの財源としてではなく、経済安定化のためである」

マクロ経済について調べていて驚いたことですが、主流派経済学にはちゃんとした「通貨」というもののの定義が無いそうです。その通貨について、最近のアメリカでは非常に興味深い理論が展開されているようです。日本では未だに新自由主義の経済学と緊縮財政を善とする財政学が主流のようですが、アメリカではすでにそれらの経済学派の主張はおかしいと言うことで、新しい潮流が生まれています。

それが「現代金融理論(MMT)」です。MMTが実践できるのは、実は日本が最適と言われています。興味ある方は以下のロイターの記事を参考して下さい。

焦点:財政拡大理論「MMT」、理想の地は日本か

もちろん、各方面から叩かれまくっていますが、主流派とは違う新しい考えなので、それも当然でしょう。でも、内容は私からしたらあたりまえとしか思えないようなものです。以下、オーストラリアを例に出した説明からの抜粋です。和訳がヘタすぎて読みにくい文章ですが・・・

MMTの解説「スティーブン・ヘイル「解説:MMT(現代金融理論)とは何か」(2017年1月31日)」から主要部分を抜粋します。

MMTには三つのコアの主張がある。初めのふたつは以下のとおりである。

1)自国通貨を持つ国家の政府は、純粋な財政的予算制約に直面することはない。

2)すべての経済および政府は、生産と消費に関する実物的および環境上の限界がある。

一番目の主張は、広く誤解されている主張だ。自国通貨を持つ国の政府とは、自国通貨と中央銀行を有しており、変動為替制度を採用し、大きな外貨債務がないという意味である。オーストラリアはそのひとつであり、英国、米国、日本も該当する。ユーロ圏の国々は自国通貨を持たないので当てはまらない。

2番目の主張は、政府はその気にさえなれば、消費しすぎたり課税しなさすぎたりして、インフレを起こすことが出来るという明白な事実を確認しているにすぎない。現実的な限界を迎えるとき、消費の総合的な水準が、すべての労働力、スキル、物質的な資本、技術および自然資源を投入して生産できる上限を超えているといえる。間違ったものを大量に生産したり、消費したいものを生産するために間違ったプロセスを使用することで、自然のエコシステムを破壊することも出来る。

オーストラリア政府は、通貨発行権を持つ中央政府である。オーストラリアドルが不足することはない。自らそう望み行動しない限りはオーストラリアドルの借用を強制されることもなく、その債務は金融制度の中で有益な役割を担う。

政府は支出のために国民に税を課す必要もない。税金はインフレを制限するためにある。インフレにならないレベルの公的部門と民間部門の総支出を維持するために、課税する必要がある。

これは政府支出と税収がお互いに同額でなければならないという意味ではない。オーストラリアのような国ではそんなことは実際にはほとんど起こらない。そしてこれはMMTの3番目の主張に続く。

3)政府の赤字はその他全員の黒字である。

すべての貸し手には、必ず借り手が存在する。つまり金融制度の中では黒字と赤字は足せばいつもゼロになるということだ。
これは下のグラフで明らかだ。1994年以降のオーストラリアの民間部門、政府部門、そして海外の収支バランスを表したものだ。

(注:グラフは引用先で見て下さい)


私からするとほとんど新しいとは思えない考え方なのですが、なかなか人に話しても理解されません。まず、ほとんどの人が、「政府が税金を徴収するのは、行政コストの財源として必要だから」と言うことをまったく疑っていません。残念ですが、まあ普通の人(マクロ経済学を知らない人)には家計簿的な発想しか無いから、理解できなくてもしょうがないですが。

しかし、そうではないと言う考え方は、昔から日本にもあり、「機能的財政論(課税とは、政府収入を増やすための手段ではなく、国民経済を適切に運営するための手段である)」と言うマイナーな経済学的主張がそれです。政府が徴税するのは財政支出のための財源を確保するためではなく、増税や減税(または財政支出の拡大や緊縮)により景気・国民経済・インフレ率などを安定化させるため、と言う考え方です。当然、財政収支はバランスさせる必要が無い(財政は赤字で良い)との考えです。

そもそも、昔は政府が直接に通貨を発行していましたから、発行した通貨を財源にできました。今でも、国債を発行してそれを日銀が直接ひきうければそれに近いです。さらに、政府が無利子・無期限の国債を発行して、それを日銀が引き受ければ、政府が直接に通貨を発行することとおぼ同じでしょう。国会で法案を通せば可能なはずです。

国債≒通貨

なのです。

ただ、やりすぎればインフレが悪化するからむやみにできないだけです。ですから、むしろ財政をバランスさせるのではなく、景気が安定するように、好景気の時は増税して経済を冷やし(結果・財政黒字)、不景気の時は減税して景気回復させる(結果・財政赤字)など、経済の安定が徴税することの目的であると言う考え方です。

財政赤字や財政黒字は「目的」ではなく、「結果」だと言うことです。

日本国債(自国通貨だての国債)には財政破綻の可能性が無いわけですから、財政赤字や累積債務がいくら膨らもうとも、インフレ率や債務の対GDP比、長期金利などさえ考えていれば良いわけですから、赤字が増えたから増税などと言う発想は間違えだと言うことになります。

また、この考えが面白いのは、お金とは何かと言うことです。お金とは、誰かが借金したり預金をおろした時に発生するものです。

債務があれば資産があり、赤字があれば黒字があり、それぞれの額は一致すると言うことです。ですから、日本中から負債がなくなれば、同じ額の資産が日本から消えることになります。

政府が毎年黒字ならば、そのぶんのお金が民間から吸い上げられて、民間のお金は無くなってしまいます。この場合は所得ですが。

ここで、お金にも2つの状態があることを理解しておかなければなりません。

資産と所得です。資産は「ストック」、所得は「フロー」と言う異なった状態です。で、このストックの状態のお金は「死んだお金」とも言われます。その死んだお金が使われて「所得」になると、生きたお金です。所得が生まれた時には税金が発生しますので、所得が増えれば税収も増えます。

今の日本はまだデフレなので、みんなお金を使わない=所得が増えないで、ひたすら貯蓄にはげむ=資産が増える状態です。

みんな(家計と企業)がお金を使わないので資産が増えるから「金あまり」と言われます。使い道が無いので当たり前です。でも、最初の話にもどりますが、ひたすら資産を増やしている人がいると言うことは、その一方で同じ額の負債も増えていると言うことです。

あたりまえですが、民間(家計や企業)が節約して銀行預金を増やしたとすると、その貯金と言うのは、銀行から見れば「負債」になります。ほとんどゼロに近いですが、いちおう利子も付いてます。

そう、銀行預金と言うのは、預けている側からしたら資産ですが、銀行からしたら強制的に借金させられているのと同じことです。ですから、運用して利益を出さないとなりません。でもデフレだと運用先も無いし誰も銀行からお金を借りてくれませんから、結局は国債を買って運用しているのです。

ですから、私ら(もしくは企業の内部留保)などの資産が増えて使われないお金が増えていることと、政府の負債(国の借金)が増え続けていることは、裏表の関係なのです。

そこで、国の借金がヤバイとか言って無理矢理増税して減らそうとすれば、私らの所得が減り、預金を切り崩して資産を失うことになるのです。それを無理矢理やることのメリットは何もありません。誰もトクをしません。

もちろん、増税したり財政を切り詰めたりすると、それにかかわった財務官僚は出世できる構造になっているので、財務省としてはウハウハでしょう。でも、たぶんそれをやると日本は滅びるでしょう。日本中から1000兆円の資産が消えるのと同じことです。

そのことを理解しているマスコミ関係者はほとんどいません。池上彰も財務省の主張を垂れ流しています。政治家も同じです。彼らは財務省が怖くてさからえません。財務省はおそらく政治家やマスコミ関係者のお金にまつわる情報なども持っているに違いないでしょうから、つつけば色々出てくるのでしょう。

話をもどして、そもそもお金の価値とは、手段としての価値です。お金そのものが目的と思っているなら、手段が目的にすりかわっています。まあ、よくあることですが。

お金は手段ですから、手段そのものに善悪はありません。使い方で善悪が決まります。包丁と同じです。包丁で、刺身を引けば善、人を刺せば悪です。

長くなったので、ここらでやめます。最後に、最近知ったイソップ童話が興味深いのでそれを引用しておきましょう。この話では、金(マネー)ではなく金(ゴールド)ですが。

イソップ物語「使わないお金なら石と同じ」

全財産を金塊に換え、人里離れた所に埋めた男がいた。
しかし、盗まれていないだろうか、と不安でならない。
結局、彼は、こっそり通って掘り返し、無事を確認するのが日課になっていた。

その行動に不審を抱いた近所の悪党が、男の後をつけて、秘密を知ってしまったのである。

次の日、いつものようにやってきた男は、卒倒せんばかりに驚いた。
隠し場所が暴かれ、すべての金塊が盗まれているではないか。
彼は、髪の毛をかきむしり、「もう、生きる希望もない」と、いつまでも悲嘆に暮れている。

ある人が、言った。
「そんなに悲しむのはよしなさい。あなたは、実際は、お金を持っていなかったのと同じなのですから……。お金は、使うためにあるのです。お金があった時も、使わずにしまっておいたじゃないですか。
使わない金塊なら石と同じです。同じ場所に石を埋めて、金だと思ってはどうですか」


(木村耕一著編 『こころの朝』より)



カネがそんなに大事ですか!?

三月の後半になり、だいぶん余裕がでてきました。YUKAの会社の廃業のほうも最悪の事態は避けられそうな感じ!?まだわかりませんが。それにしても、この件でわかったことは、楽して金儲けしているやつほど金にがめついと言うことですね。早くデフレ脱却して、お金の価値が下がってくれないと、拝金主義が蔓延して日本はダメになるでしょう。

勘違いしている人が多いですが、バブルの頃と言うのは「お金の軽視」なのです。金をじゃんじゃん使う、民間は借金してお金を使う時代です。それはインフレでお金の価値が低いから、だから浪費するわけです。

今はそれとは真逆の時代です。デフレでは「物価が下がる=お金の価値が高くなる」わけです。だからとにかく金を使わない。経費削減、コストカット。節約・倹約の時代です。それが良い事と思っているから手に負えません。お金は手段です。手段にすぎないものを目的にしてしまうことほど愚かなことは無いでしょう。

何事も両極端に触れるのは単純思考の愚か者によく見られることです。その時代に適応しきった人たちからすれば、デフレの現状を変えられると困るのかもしれませんが、国全体にとってみればデフレはかなりまずいことです。

小泉政権が誕生した頃、森永卓郎氏は「年収300万円時代がやってくる」と予言しました。当時はみんな、「何を馬鹿なことを」と言って笑ったものでした。ところが、現在は本当にそうなっています。

森永卓郎氏は、政治的には左翼と言うかリベラルだから小泉政権を批判したくて言っているだけだろうと当時は思いましたが、その後の彼の言動は、政治的には知りませんが、経済的にはかなり正しいことを言っています。

彼はデフレ脱却が必要なことを訴え続けていましたし、安倍政権のことを嫌いなのに、当初のアベノミクスの方向性(金融緩和+財政出動)を正しいと評価していました。この30年間の日本経済低迷については財務省こそが諸悪の根源であることをしっかり理解しており、今回の森友問題でも安倍政権叩きばかりやっているのは、安倍政権を早く潰して消費増税したい財務省の思うつぼであるとも述べています。

第77回:財務省決裁文書改ざん事件の本質は何か(森永卓郎)

財務省はウソツキ

 今回の決裁文書改ざん事件で、明白になったのは、財務省はウソツキだということだ。そして、財務省がついてきた一番大きなウソは、「日本の財政は先進国のなかで最悪の状態にあり、財政の持続可能性を考えたら、消費税引き上げ以外に方法がない」というものだ。40年も前から始めたこの財務省のキャンペーンは、いまでも多くの国民が信じ込んでいる。

しかし、財務省が作成している「国の財務書類」という統計をみると、連結ベースで国が抱えている債務は1400兆円となっている。しかし、同時に国は950兆円という世界最大の資産を保有している。差し引きすると、国が抱える純債務は450兆円にすぎない。これは、先進国の普通のレベルだ。

しかもアベノミクスの金融緩和は、日銀が保有する国債を大幅に増やした。日銀が保有する国債は、事実上返済や利払いが不要なので、借金ではなくなる。経済学では、通貨発行益と呼ぶ。いま、日本の通貨発行益は450兆円にも達している。通貨発行益と純債務を通算すると、ちょうどゼロだ。つまり日本政府は、現時点で無借金経営になっているのだ。もちろん消費増税の必要性など、かけらもない。

 国民が、この財務省が作り出した最大のウソに、一日も早く気付くことが、今回の決裁文書改ざん事件から受け取る最大の教訓なのではなかろうか。



森永卓郎さん「安倍政権がひっくり返ったらポスト安倍は全部増税派。必ず消費税増税の方向に向かう」(こちら参照)

財務省に怒り心頭、納税者の反乱 森永氏「最も嫌がるのは安倍政権の支持率維持」

嫌いな相手、考え方の違う相手でも、正しい部分は認めると言う彼の姿勢を見て、なかなか人格的には立派な人だなあと思ったものです。それにくらべて、日本のリベラルなメデイアや人々の大半は、財務省が怖くて批判できないのです。確かに彼らは怖いです。税務調査に入られます。一部マスコミはその対策として、財務省からの天下りを受け入れています。

日本の野党やリベラル系のマスコミは、自分たちの嫌いな安倍政権さえ攻撃できれば中身はデタラメでも良いみたいです。補助金詐欺師の証言に飛びついたり、財務省が組織的にどれだけ悪さしていようがそちらは後回しに(それどころか擁護)してみたり、天下りあっせんで当初は叩いていた官僚でも安倍政権を叩く材料として使えるなら、手のひらをかえして逆に彼を持ち上げる始末です・・・

そういう姿を見ていて、私はもう日本のリベラル系の人達は本当にダメだなあと確信しました。

安倍政権には批判すべき政策が山ほどあるにもかかわらず、それらの問題点の大半をそもそも理解すらできておらず、デフレが問題ともわからず、とにかく安倍政権は外交や安全保障や憲法で自分たちと考えが違うから政権を倒したい。倒すためには議論によって打ち負かすのではなく、スキャンダルの足引っ張りでぐちゃぐちゃにしているだけです。

そんなやり方で政権を打倒できたとしても、今度は同じ事を相手方からされたらまたぐちゃぐちゃになるだけです。そういうことに気づいた人が増えてきたから、野党の支持が伸びないのでしょう。

ネットの普及でマスコミの信頼度が下がっています。マスコミがどういうデタラメをやっているか、ネットで調べるとすぐわかる時代です。しかし、ネットにはデマも多いです。マスコミがもっとちゃんとしないと、その不信感からネットのデマで世の中が動いてしまうようになるでしょう。

人間は、誰しも、自分が信じたいものを信じているにすぎないのかもしれません。そのことを自覚している人に会ったことはありません。

マスコミ報道のいいかげんさも、ネットのデマも、どちらもなくならないどころか今後も増え続けるでしょう。それは、誰であろうと、事実かどうかよりも、自分が信じたいものかどうかで真偽や価値を判断しているからだと思います。

心地よい言説に飛びつく前に、とりあえず疑ってみて、違うことを言っている人の話も聞いてみてはどうでしょうか?